#君の名は

椿が屋上の扉を勢いよく開ければ、伊達と一緒に屋上のフェンスに持たれて項垂れている幸村を発見した。
先程廊下ですれ違ったクラスメイトが、ふたりが(いつもの)取っ組み合いの喧嘩の末に階段から転がり落ちたという話を教えてくれた。
そしてそれから学園内で暴れている?らしい。
椿は幸村が心配になって様子を見に来たのだ。


「幸村!階段から落ちたと聞いたが!大事ないか!?」
「げ・・だ、大丈夫でござるよ!」
「まことか?」

しゅっと間合いを詰めて近づけば、傷でも作ってないかと、髪を頭をわさわさとまさぐる。
栗色のねこっけはいつも通りもさもさとしていた。
どこにも傷はないようだ、一安心していると、自分の臀部に違和感があった。
気付けばいつのまにか幸村の手は椿の臀部を撫でているではないか。
初心な許嫁殿がこんな芸当とても出来るはずがない。
とすれば、答は一つだ。

幸村(?)から距離を取って、取り出した竹刀の切っ先を喉元に突き付けた。

「あー!!ま、政宗殿!!椿になにを!!」

「・・・・誰だ貴様・・・幸村の皮をかぶった曲者め!」
「ha!」
「私の幸村は不躾に触れたりなどせぬ!!」


竹刀を突き付ければ、隣の伊達が目に涙を溜めて情けない声音で私の名前を呼んだ。


「う、椿〜〜!!」
「なぜ伊達が私の名を親しげに・・・ん?幸村なのか?」

違和感がすごいぞ。

「つまり・・・階段から転げ落ちて気付けば中身が入れ替わっていたと・・・」
「That right」
「そうなのだ・・・」
「これまた面妖な・・・」

「そして隠していたが、私にあっさりバレてしまったと・・・」
「手癖の悪い、政宗殿のせいにござるな」
「shit!」


その後、やってきた佐助と片倉に嘘を突き通すも、保健室の変態に嘘を暴かれていたのはちょっと気の毒だなと思った椿だった。

(でも伊達。貴様は許さん。私の尻が減ったではないか)


「椿ぃ!無事に戻ったぞぉお!!」

教室で帰り支度をしていると、少しばかり焦げた幸村が現れた。
不安に駆られ、ぺたぺたと顔や腕などを触った。


「まことか?まことに幸村か?」
「俺でござるよ!」

普段通りのお天道様のようなにかっとした笑顔で笑いかけられて、椿は漸く安堵することが出来た。


「・・・よかった・・うちに帰ろう」
「うむ!また宿題を手伝ってくれ」

ふたりはどちらともなくぎゅっと手を繋いで帰路に着いた。



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -