#めしまず

誰が言ったか、げに恐ろしきは食い物の怨み。


校庭でのいざこざから、あれよあれよという間にお料理対決が始まってしまった。
体育館に即席のステージとが作られ、その周りを生徒たちが囲んでいる。

幸村と徳川は武田信玄のほうとう鍋をつくらしい。ほうとうならば私も手伝えるのではないか!?と真っ赤なエプロンを身に着け、椿は高らかに挙手した。


「わたしも!わたしもほうとう作りに参加する!!」
「く、あ、つ、椿はそ、そこで見ていてくれればよいのだ!あ、味見をしてくれ!」
「お、お嬢!そ、そうだって!」
「だが・・・親父殿のほうとう・・・」


しょん、と小さくなった椿には悪いが、これは、こればかりは、と幸村も耐えるしかなかった。
武田椿、彼女は、料理の腕前がそれはもう壊滅的だった。
何度か有名な達人を教師として送り込んではみたものの、誰も椿を治すことはできなかった。
誰が呼んだか、武田の胃袋破壊神。
だが本人はあくまで普通に作れているつもりなので、これは武田家門外不悉の秘密だ。


「? 椿殿にも加わってもらえば良いではないか?」

もちろん家康は知らない。

「徳川の旦那、悪いことは言わない・・・やめときなって」



そして紆余曲折あったが、完成した料理はあっという間に小早川が平らげた。


(むぅ、幸村と料理したかったな・・・)



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