(千昭)←真琴
*
早朝。
吐き出す息が白くなって、大分経つ。
(アイツが居なくなって…もっと経つ。)
見上げた空は高く、澄んだ青。
足元を見ると、鮮やかな赤い落ち葉たちが、コンクリートの上で道を作っていた。
夏が過ぎてから…
彼がいた夏が過ぎてから、世界はとても美しく見えるようになった。
何もない未来に生きた彼の目には、
きっともっと…
私のこの目とは比べ物にならないほど…ずっと綺麗に見えていたことだろう。
屈んでつまみ上げた紅葉を空にかざすと、キッパリとした青と赤の色合いが美しく見えた。
なのに…
この美しい世界に君がいないと思うと、
君の愛したこの世界が、これ以上ないほどに霞んで見えた。
鼻の奥がツンとなったのはこの寒さのせいだけじゃないけど、この美しさが切なく見えてしまうのはきっと君のせい。
もし君がここにいたのなら、
私はきっと冷えきった鼻先を君の背に押し付けて、目に染みるほど青い空の下でこの赤い絨毯のひかれた並木道を
君とじゃれあいながら並んで歩いていたんだろうな。
そして世界は輝くんだ。
苦しいほど鮮やかに
*
時かけリハビリ中(笑)
ある種のウォーミングアップですね…げふんげふん
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