05 高校生という青春時代
彰と私は、彰が高校1年から大学1年まで約3年間付き合っていた。
―ー始まりは極普通の始まり方だ。
バスケットボール推薦で陵南高校に入学した彰は、入学当初から学校中の噂だった。
かっこよくて、
バスケットボールが上手くて、
当たり障りのない優しい性格の彼が、人気者になるには時間がかからなかった。
あれよあれよと友達を介して彰と出会い、
彰が高校1年、私が高校2年の夏に付き合いはじめ――気づけば約3年もの月日を共にしていた。
「…元気だった?」
「うん。名前さんは?」
「元気だったよ」
「スポーツタイムズで働いてたんだね。長いの?」
「うん。もう4年くらいになるかな」
「そっか。仕事は楽しい?」
「楽しいよ。毎月いろんなスポーツ選手を取材して、密着して、スポーツの魅力と真実を伝えられるこの仕事が、楽しい」
この仕事のおかげで、今こうして再会できたしね。
「彰は?国内最多得点王って、すごいじゃない。相変わらず頑張ってるね」
「んー俺はまだまだ。プロになって5年も経ってようやくここだよ」
「目標や目指すレベルは人それぞれだからね。彰は志が高いってことだよ」
暗闇の中でもすでに慣れた瞳。
その奥には、10年ぶりにまっすぐ私を見つめる
―ー仙道彰が立っていた。
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