さあ、うたおう
ユキとキラその後
お好きです? 06

キスは、正直あまり得意じゃない。
好き嫌いの意味じゃなくて、下手くそだと我ながら思う。
若い匠の舌技に応えながらぼんやりと見上げると、いつもは髪に隠れた耳が目に入った。
白くて薄い、綺麗な形の耳。
ほんのり朱がさしいて、色っぽい。

なんか。

うまそう。



「?」

「あ……」



思わず手を伸ばしていた。
皮膚の向こうの軟骨の、少し冷たくて、不思議な感触。



「な……なんでも……」

不思議そうに見下ろされて、顔が熱くなる。

恥ずかしがる必要なんかねえのに。
別に、んな恥ずかしいことしてねえのに。
これからもっと恥ずかしいことするんだってのに。

あれ、するんだよな?

「くっそ」

「あっ、ちょっと、アキラさん」

深雪の髪に指を差し入れてぐちゃぐちゃとかき混ぜる。
そうだ、こいつの髪形が悪い。
いつもと雰囲気の違うこいつの所為。
ストイックな雰囲気は学ランだけで十分だ。

ぼさぼさになった男前にニヤリと笑いかける。
眉をハの字にしたその頭を両手で鷲掴みにして引き寄せ、唇に噛み付いた。

難なく侵入を許された舌で深雪の口内を愛撫する。
深く、深く。
深雪の全てを奪うように。
たまには主導権を握ってもいいはずだ。

「ふ! ……ン、っは……」

調子に乗って蠢かせていた舌は、でも、待ち構えていた深雪に絡み取られてしまった。

「ン! ん、ん…………ん……ん」

大暴れのオレの舌は軽くいなされて、じゅぽじゅぽと大袈裟に音を立てながら吸われる。
痛くはないけれど、抜き取るのが困難な程度には強く吸われながらフェラチオみたいに愛撫される。
側面の敏感な部分を扱かれると頭の奥がジンとして、思わず舌から力が抜けてしまった。

「ふ……ちゅ、ん、あ……んん」

自然と鼻に抜ける甘い声。
あれ?
完全に形勢逆転?
腰がずくずくと疼く。
なすがままの舌とは対照的に深雪の頭を掴んだままの指には力が込もってしまって、まるで続けろと催促しているみたいだ。

ん、ってか、してんだけどさ。

「! ン!! アっ」

だって、オレはすっかりその気だし。
ほら、首に触れられただけで、体が跳ねるほど期待してる。

ははっ。
深雪のこと、言えねえな。
多分、学ラン効果。

今より初心だった頃のトキメキ。
ストイックさの内側から、弾けんばかりに膨らむ若々しさと、エッロい情熱。
そんなもんを想像して、なんか、興奮する。

コスプレも悪くねえ。

かも?


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