さあ、うたおう
ユキとキラその後
お好きです? 05

真面目に取り合ったオレが馬鹿だった。
ってこと?

ああ、もう、アホらしい。
だらんと力が抜けた体を頼もしいソファが支えてくれた。
グッジョブ。


ってかさ、こんなコスプレもどきしたからって、過去のオレに会えるわけじゃねえのに。

深雪は、オレなんかよりよっぽど頭がイイ筈。
だけどとんでもなくバカだと思う。
「過去」とか「全部」とか、無理なことばっかし。


でもさ、こいつならやりかねねえかも、とか思っちまうオレもどうかしてんのか。


見上げれば視線が絡む。
愛しげだとオレですら自惚れられるほど優しい眼差しは、まあ、悪くねえ。
暖かいようなくすぐったい様な、そわそわしちまうけど、悪くねえ。

じっと見つめていると綺麗な顔面がゆっくりと近づいてきた。
瞼が落ちて、瞳の煌きが消えてしまう。
キス?
キスだろ?

わかってるけど、ちょっと気に入らねえな。
オレを見ろよ。
全部、欲しいんだろ?

全部。

知っても。

それでもさ、その目でオレを見て、くれるんだろうか。
ただでさえ何を知られてるんだか、わからねえってのに。
ケツの据わりが悪くって仕方ねえよ。

あんま、欲張るんじゃねえ。
ゆっくり、にしとけよ。
オレの気持ちの準備ができるくらいゆっくり。

際限まで近付いた深雪の唇をぺろりと舐めてやると、ぱちぱちと漆黒が瞬いた。
間抜けな面に、ニヤリと口の端で笑ってやる。

「あんまり可愛いイタズラしないで下さいよ」

「あれ、タメ語じゃねえの?」

「……アキラ、くん?」

「ン? 何かね、ミユキくん」

やりたかったんだろ?
同級生ごっこ。

こんなトウの立った高校生、あり得ねえけど。

「アキラくん」

「んだよ」

深雪が微笑む。

「ふふ。好きだよ」

「ん」

「好き。大好き」

「っふ」

いつもよりどこか子供っぽい囁きがくすぐったい。
思わず笑いを漏らすと、その唇を先ほどの仕返しのように舐められた。
ちらり、と掠めていった舌が、再び舞い戻る。
唇の隙間をゆっくりとなぞっていく舌先がくすぐったい。

誘惑に弱いオレは、あっという間に陥落。

「んっちゅ、ふ……むあ……」

やべえなあ。
高まっていく劣情に侵食されながらも思う。

深雪も学ランじゃんね?
ちょっとなんだろう、背徳感?


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