「決断」-9P
「お前の人生は面倒なんかじゃない。それにお前が守りたい、俺のまともな未来って何だ?俺の人生をどう使うかは俺が決める」
ウェブスターは落胆してうなだれるビブセントの顎(アゴ)を掴んで持ち上げ、目を合わせろと訴えた
「少しずつでいい。将軍は死んだんだ、それは変えられない。自分の変化を否定したりせずに、生きて今目の前にいる俺を見てくれ。俺には二度とお前を兄キと呼ばない覚悟ができている」
あれこれと複雑に考えるビブセントと違って、ウェブスターは非常にシンプルな考え方の持ち主で、今度の場合も結論を出すのが早かった
兄は最愛の人と自分との間で心が揺れている
だからこれまでの経歴を捨て、彼の恋人となり導くことにした
今にも自分で自分の首をへし折りそうな兄を生かす唯一の方法だったからそうしただけのことだった
もちろんそれに伴う現実的な問題も把握していた
だが前の心臓の移植問題で見て取ったように、彼はここでもビブセントにとっての最善を達成する為には手段を選ばぬ、恐れを知らない男だった
「その決断は非常識だ」
そういう野次は、彼にとって解決能力のない人間の戯言(タワゴト)だったのである
そして最後に物語の要−(ビブセントがウェブスターとリョンナンに発ったか否か)−だが、結果としてビブセントは彼とリョンナンへ行った
旅先で彼がウェブスターに従って互いの関係をつめようとしたのか、あるいは実際につめたのか、または無関心で通したのかは定かではない
だがリョンナンでのその二週間のビブセントは、彼の傍で心穏やかに過ごしたと聞く
詩人ノーティンラートの語らい
第二の章「決断」
−終幕−
2011.01.17
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