えふえふ | ナノ



第一回0組会議

※エース自重しろ


「今日集まって貰ったのは他でもない。」

朱雀の一角、0組の空気がシンと静まり返り、凍る。
いつもになく真面目にな顔で、教卓を占領するのはエース。他の兄弟達は、各机に座らされている。

「これは我々にとっても、極めて重大なことだ。」

一体エースは何を言い出すのだろうか。皆の緊張は止まない。欠伸をしている者や、机に突っ伏しているものは、幻影である。気にしてはいけない。
ついに、エースが口を開いた。

「マキナの、我々のアイドルの防衛策のことである!」

前言撤回、果てしなくどうでもいいことである。




「で、そのマキナは?」

恐れ知らずというか面倒くさがっているというか、ケイトが頬杖をついて訪ねてくる。皆の「おい、余計な事を言うな」や「話逸らせよ…」といった視線はスルーに限る、だ。

「レムと一緒に女子会をしている。邪魔しちゃ悪いだろ。」

「なんと羨ましい(レムが)。それは妨害しに行かなければいけませんね。」

「それはきっと女子会じゃない。女子という単語をナインと一緒に辞書でひいてこい。」

「バカにしてんのかアァン!?」

挙げ句、「遂にボケたのか」という憐れみの視線まで集めてしまった憐れエース。しかし本人は全くの無自覚である。

「僕は真面目な話をしているんだ!!皆も真面目に考えてくれ!!」

バァン、と机を叩いて凄むと一同は静まり返る。勿論、呆れと理解の苦しむこの状況のため。
これはツッコミ待ちなのだろうか、と不安に駆られる今日この頃。頼みの綱は、読書、銃の手入れ、居眠り、ナインと喧嘩を始めた。もう終わりである。フィニスの刻も裸足で逃げ出すだろう。

「で、何の対策なんだ…?」

「マキナをイヤラシい目で見る輩の排除法だ。クソっ、マキナの二の腕おいしいです!」

「つまりエースを排除すればいいのか。」

「セブン!僕はマキナを見張ってるだけだ!決して影に連れ込んでイヤラシいことなんて」

お巡りさん、こっちです。
勝手に誤爆した挙げ句、犯罪予定まで口にし始めました、 全ての元凶。どこかで本のページが盛大に破れる音がした。
ただシンクだけが「いいんじゃないかな!エーマキいいんじゃないかな!」と間延び口調はどこへやら。ハキハキと鼻息荒くペンを走らせている。

「皆はわかってない!マキナの愛らしさを!無邪気だし純粋だし、可愛いし色っぽいし、太ももを出してくれたら完璧!マジエロい!!」

わかっていないのは皆なのかエースなのか…その判断は個人でしていただきたいものだ。もし今人が来れば、鼻息と一緒に赤い筋を垂らす姿に、間違いはエースだと断言される、間違いない。
お巡りさん早くきて。

「真面目タイプのマキナはガードが固いからこそ可愛いじゃーん。脱がしがいがあるしチラリズムが萌えるって〜。」

「同意する。だがジャック、お前も敵か。」

「トレイ、弓持ってるんだからキューピットになってやれよ面倒な。」

「生憎黄金の矢は在庫切れです。鉛の矢でよろしければ野郎共の心臓をぶち抜きます。」

鉛を心臓に突き刺せば完璧だと思われます。でもまた溜め息混じりで、我らがマザーが治療してくださるのでしょう。治すついでに思考も正常に修復していただきたいものである。

「あのさ、エース。それはお前の勘違い。誰が好き好んで野郎の穴を追いかけんだよ。お前とその他諸々程度だよ。」

その"その他諸々"がこの教室に集結しているのだが、気にしてはいけないのだ。決して。

「マキナさんが人気なのはわかりますが、なにもそこまで…」

「甘い、甘いよ二人とも!砂糖より甘い!」

ビシィ!と小気味よい音がした…気がした。

「見ろよあの尻を!!触りたくなるだろ、突っ込みたくなるだろ!」

甘いのはエースの頭のネジの締め具合であろう。え?それよりつっこむことがある?突っ込んだら負けである、エースと同類である。

「やっぱり、エースを殺ればいいのか。」

「何してるんだお前ら。」

状況がわからないまま、ただ呆然と突っ立っていたのは問題の人物マキナ。
まずは教室の惨状を、次にエースの「マキナはぁはぁ」という台詞に一歩ずつ後ずさった。賢明な判断である。

「マキナ!無事か?まだ処女か!?」

「エース、気持ち悪いぞ。」

冷静なツッコミありがとう。

「で、何をしてるんだ?返答次第では切る。」

「マキナの処女を貰うにはどうすればいいのか。」

「よしエース。面貸せ面。」

二人の間に止めに入る者、0人。
別に変態が一人欠けたところで、と軽蔑しきった顔が訴える。哀れな。

「マキナは僕のほうがいいよね〜?」

「いや、こっちに来なさい。二人は危険です。」

訳も分からず野郎から引っ張りだこにされ、マキナは完全にドン引き状態である。レムを振り返り、助けを求める様はなんとも情けないが、仕方あるまい。だって野郎共の目が非常に怖いもの。

「いや、マキナは今日僕の部屋にくるんだろ?裸Yシャツで!おいしいです!」

とりあえずエースを早く軍法会議にかけた方がいい。0組の士気を下げるという大罪を犯しているのだが……、多分、いや確実に隊長も逃げ出すであろう。

「キング…エイト……」

(見るな、俺をそのような目で見るな…っ)
(俺たち、だっ)

「助けて…」

(やっぱりかっ!!)

エースの鋭い視線がキングとエイトまでもライバルだと認識したところで……僕たちの戦いは始まったばかりだ!としめておこう。
0組、任務、いや争奪戦開始。

+終われ

++++
マキナ「もうやだこのクラス」

12.1.9

[ 656/792 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -