えふえふ | ナノ



おまじない

※5000hit感謝

※付き合ってない設定


「でさ、今日リフレで奇跡の……」

「でもそれ、チケット制でしょ?」

心地いい陽の照る日午後。授業中ですらうとうとしてしまう日和に、友人のヒソヒソ話。夢路に旅立つにはもってこいの昼寝日よりである。
カサリ、コツン

(ん?)

何か頭に当たった気がする。一体誰、なんて野暮だ。横にいるのは壁かマキナ。
壁から物が飛んでくるなどありはしない。

(だけど、何故?)

クラサメの注意を子守歌に考える。何故真面目なマキナが、授業中にこのようなことを?と。だが子守歌が遠くなるだけ。
また紙で声をかけられる。しょうがない、と脳へと意識的に覚醒を促し、紙を手に取り目を通す。

『放課後、用がある。テラスに来てくれ。』

相変わらずな達筆な字に目が覚めた。用とは何か、授業の後で伝えてはダメなのか、と端正な横顔を見つめるが翠とかち合うことはない。紙の玉を、後で捨てようとポケットに入れたことが最後の記憶だった。
きっと訳があるのだろう。そう思い追及せず迎えた放課後。急いできたはずなのに、既に朱のマントは風に揺られていた。

「ごめん、待たせたか?」

「えっ、いや、俺も、今きたところだ……」

まるで恋人のような会話に苦笑い。幸い周囲に人はいない。

「それで、話って?」

「あのさ、この後は…」

「暇だけど?」

「……リフレに付き合ってくれないか?」

マキナから食事の誘いなど珍しい。いつ何時であってもレムから離れない彼が、まさかエースを誘うとは思ってもいなかった。

「別に呼び出さなくてもよかったんじゃないか?」

「いや、その、」

マキナがはっきりしないなんて珍しい。なにをそこまで口ごもるのかはわからないが、俯き真っ赤になった顔から何か察するしかなかった。

「レムじゃなくていいのか?」

「レム、は……」

まるで狙っていたかのタイミングで、魔法陣が赤い輝きを放った。現れたのはレム。二人の姿を見かけるや否や、急いで駆け寄ってきた。

「マキナ探したよ。終わってすぐに姿がないんだもん…びっくりしたよ。」

今日の彼はどうしたのだろう。レムがきたというのに、表情が堅い。いつもなら喜々として傍によるのに、バツが悪そうに後ずさる。

「今日が前のー……どうしたの?」

「いや、リフレに行こうって誘われたんだ。」

「リフレに?」

エースの影に隠れるマキナに、レムが小首を傾げる。決して交わらない視線に、レムが静かに微笑んだ。

「二人で行ってらっしゃい。」

「レム…」

「だけど、次は私を誘って、ね?」

今の一連の流れで通じあえる二人に感服しつつ、マキナを見つめる。相変わらず視線は遠くの山をさ迷い、怒られた子供のようだ。

「レムは、何を伝えたかったのかな。」

「…ポケット。」

「え?」

「ポケット。」

指されたのはエースのポケット。言われたように探ると、忘れていた、授業中に飛んできた紙の玉。

「捨てるの忘れてた…」

「開けろよ。」

ぶっきらぼうな言葉に期待はしたが、開けたところで出てくるのはメッセージだけだろう。マキナの行動が未だよくわからず、だが従うしかないと広げてみれば、やはり文字のみ。まさか炙り出し、と注意をし慎重に裏返してみると。

『パフェ無料券』

「リフレの、タダ券?」

これはケイトたちが話していたものじゃないか。確か、女子に人気があり応募制なレアものだったはず。赤くなる彼と交互に見つめたところで、答えなんかでない。

「べ、別に手に入れたかったわけじゃない。貰ったんだからな!」

「誰に?」

「……………ケイトに……」

嘘、嘘、嘘、真っ赤な嘘。
女子に人気なパフェ。0組の女子も例外ではなく、易々と手放すものではない。それに目線がまた泳ぐ。マキナは正直者だから、嘘に慣れずすぐわかる。

「…そっか、ケイトは優しいな。」

笑い出しそうなのを堪え、チケットの皺を伸ばす。

「勿論、マキナには劣るけど。」

「えっ」

「行くぞ。」

誰も見ていないからいいだろう。手を取れば、咄嗟に振りほどこうと激しく振られる腕。だがすぐにおとなしくなり…と思えば、今度はおとなしく身を委ねられた。暖かい。

「――、ありがとう。」

「ん?」

「行くぞ。」

形勢逆転、マキナがリードする形で手を引かれ、少しバランスを崩してしまった。マキナの表情は伺えない。風が跳ねた髪を踊らせる。

(エースは、知らないのかな)

このチケットにはとっては特別なチケット。奇跡のパフェと呼ばれる、人気のチケット。

「エース。」

「どうした?」

知ってる?なんて聞けるわけがない。聞くには勇気が足りない。
奇跡など、信じてるわけじゃないけど。

「マキナ。」

「なんだよ。」

「僕も、好きだよ。」




「で、奇跡のパフェって呼ばれるわけは?」

「噂だけど、一緒に食べるとずっと一緒にいられるんだって。友愛しかり恋愛しかり、おまじないには最適よね!」

「ハッ、戦争の恐怖から生まれるデマだろ。」

「……そうでもないよ。きっと、ね?」

+END

++++
5000hitリクエスト『マキナがレムにバレないようにエースとデートしようと頑張るエーマキ話。(バレてもレムは気にしなくて、仲良くデート)』でしたが…せっかくの萌えシチュを戴いたわりに適当な……
あれ、デートしてないよねこれ。どうなんだろこれ、どうすんだ俺!

す、すみませんこのような出来で…ま、またよろしければネタください!リベンジします!
ではでは、ありがとうございます!

12.1.7

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