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child operation next

※「child operation」の続きです


秩序の聖域は平和です。
今日も今日とて、新しい仲間を加えてなお皆が騒ぎ回っていた。

「ほ〜らほらほら」
「ボク、ねこじゃないんだけど」
「尻尾は猫じゃないの?」
「それとこれとはかんけいないよ」

騒がしい輪の真ん中には、羽のような独特な髪。ワイワイと喧騒に取り囲まれてうんざりはしているがおとなしくしている子供、クジャである。
セシルが猫じゃらしを動かすが興味を示さない。後ろから猫のような尻尾をティナが掴めば威嚇までされた。
おとなしくしているのは、怒られないためである。怒られないようにしているのは、待ち人であるーーー

「ジタン!」
「いい子にしてたか? ホラ、いくぞ」

遠くから走ってきた黄色にいち早く反応して名前を呼ぶ。

ピクリとも動かなかった尻尾が真っ直ぐに伸び勢いよく振られる様は露骨というかなんというか。興味すら持っていなかった猫じゃらしを勢いよく叩くのは興奮しているだけなんだろう。それでも面白い絵だ。
息を切らせる彼をバッツとティーダが迎え入れ、セシルは猫じゃらしをしまい小さく細い腰を持ち上げる。抗議の声と爪は気にしないでジタンへと近づいた。

「はい。いい子にしてたよ」
「ありがとな」
「にもつのようにはこぶのは、やめてくれないか」
「遊んで貰ったんだろ。素直にお礼言えって」
「・・・・・・ありがとう」

何だかんだで一番面倒を見てくれるのはジタンだ。そしてクジャが唯一言うことを素直に聞くのもジタンだ。最初はジタンが威嚇しているのもあり、亀裂は多かった。今では落ち着いて、仲良くしているのが微笑ましい。
「よくできました」と頭を撫でてもらい、気持ちよさそうな照れくさそうな顔。セシルも一緒に撫でてみたが、感情のない目でジッと見詰められた。触るなということだろうか。

「じゃあ今日はちょっと遠くまで行くぞ」
「いいよ」

素材集めには必ずと言っていいほどクジャを連れていく。危ないんじゃないかとスコールらが止めるが、「懐かしい場所に行けば記憶だけでも戻るのでは」これがジタンのだした考えだった。
手を差し出せば掴むどころか腕にまとわりついてきた。過剰なスキンシップは記憶が戻っているのか、それとも本質的なものかはわからない。

「クジャ、あんまりくっつくなよ」
「だってジタンがすきだもん」
「危ないぞ」
「いっしょにいたら、みうしなわない。ボクはてまがかからないいいこでしょ?」

こういう子供らしからぬところもあるが、可愛い子供である。興味のあるものには目移りもするし、前よりも素直である。
普段は素っ気なく対応するが今は放っておけない。1人にすればきっと泣き出してしまう。
腕を掴まれながらも聖域近くの森をいく。途中見つけたイミテーションがクジャの形をしていて、少し心が痛くなった。

「ボクはジタンにとってなんだったの?」

改めて聞かれても反応に困る。遠い目をしながらイミテーションをやりすごしていると「ボクをみてよ」と後ろ髪を引っ張られた。

「何だったんだろうな」
「はぐらかさないで」
「言えるのは、無関係じゃないってことくらいかな」
「こたえになってない」

プウと頬を膨らましポカポカと殴られる。じゃれついてくる姿は微笑ましい。苦笑しながら、肩車をすれば腰布を押さえた。まるでスカートをはく少女のようだ

「上にある羽、取ってくれるか」
「おとさないでね」
「落とさねぇよバーカ」

"バカ"の単語に怒ったクジャの蹴りが胸を直撃したところで、くさむらが動いた。
敵のイミテーションではないが、1人ではない。1、2、3、合計5人が2人に気付かれない距離を保ちながら徐に通信機を取り出した。

「今のところ以上ナーシ!」
『そうか。ついでに木材を大量に頼む。さもなくばまた夕飯を焦がすぞ』
「了解ッス!」

機械を切り、セシルがスコールに手渡す。他にはバッツ、ティーダ、ティナ。オニオンは珍しくティナと離れてお留守番だ。

「子供っていいね。可愛い」
「まさかティナがオニオンと一緒にいるのってその為?」
「可愛い・・・・・・な」
「スコールが母性本能に目覚めたッス!!」
「なんだと! なあスコール、子供は何人がいい!?」
「そういう意味じゃない」

因みに声量は叫びに近いが、2人は気づかない。
羽をとっても頭にしがみつくクジャを振り落とそうとジタンが頭を振っているだけだ。

「ごほうびのキス!」
「それは大きくなってからな」
「おおきくなったらいいの?」
「あー・・・・・・やっぱりもっとしてからな」
「やくそくがちがうじゃないか!」

少し考えて前言撤回すると、思いきり髪を引っ張られた。挙げ句の果てに押し付けるように零距離ホーリーをくらい、地味ながらもライフが削られた。魔法の威力は落ちていても痛いものは痛い。

「もどったらてかべにぶつけて、アルテマとフレアでハメてやる!」
「リアルだから止めろ! 置いていくぞ!!」
「おいてくとなくよ!?」
「それ普通予告するか!?勝手にしろよ!!」

大声で言い争いを始めた2人にギャラリーは騒然だ。

「スコール。ウォル呼んで」
「つーのー。のーばらー。ジタンが子供を虐めてるッスー」
「ジタン、そんな・・・・・・可哀想よ」
「ティナ。メルトンはストップメルトンは!」

草むらでもこんな大騒ぎが起きていたが、気づく気配はない。
スコールはクラウドに連絡ではなく思わず人事部へ電話をしかけたのは秘密である。
大きくなっていく騒ぎの中、暴れ始めたクジャとジタンの乱闘が始まりあろうことか腰布が大きく捲れてしまった。ジタンは運よく見えなかったらしいが、草むらにいた者は正面から見てしまった。

「バッチリ見えたな」
「いつものことじゃないッスか」
「だよね〜」
「何故二人は慣れてるんだ・・・・・・」
「私も平気」
「マジで!?」

正確な被害者はスコールだけである。

「じゃあもう帰る? 面白いことなさそう。」
「面白いだと・・・・・・」
「帰ったらズボン履かせようぜ」
『無駄だ。俺も努力したが失敗に終わった。寧ろアルテマの重症だ』
「あれ、クラウド?」
「俺が連絡したからな。今日の夕飯はダメかもしれない、と。」
「あ」

見事4人の声がハモった夕方だった。



「じゃあオレらも帰るか」
「えー。もっとふたりであそびたかったなぁ」
「帰ったら遊んでやるよ」

本人達はバレてないつもりでも、バッチリ気付かれてるのである。帰る準備を始めた一同を見ながらジタンはクジャと今日の戦利品を担ぎ直した。

「まだ記憶は戻らないか」
「そんなにはやくもどってほしいのかい」
「お前が不安だろ」

自分が何者かわからない不安は嫌でもわかる。慰めるように頭を撫でるとおとなしくすり寄ってきた。

「ジタンがいるからだいじょうぶだよ」
「強がるなよ」
「ほんとうのこと。ボクがなにものかは、キミがしっている。ならそれでじゅうぶんさ」

笑顔を絶やさない子供に拍子抜けしてしまう。
勝手に不安になっていたのはジタンのほうだったのかもしれない。このままだったらどうしよう、恋人に戻れなかったらどうしよう。不安ばかりに囚われていた。

「全く。お前ってやつは」

自信満々なところも変わらないし、関係も変わらない。安堵で力が抜けたところでクジャが背中に飛び付いた。

「急ぐか。掴まってろよ」
「ん」

尻尾を絡め合いながらジタンは地面を蹴りあげた。

+END


+オマケ+

ジタ「何だこれ・・・・・」
クジャ「炭?」
オニ「僕の今の気持ちをファイガに込めた結果だよ。」
ウォル「10分前は、焼肉だった。」
クラ「すまない。俺がいながら。」


++++
ショタ好きです

09.5.11
修正16.9.7

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