えふえふ | ナノ



異説花見会場1

※CP要素っぽいのがあります(フリマティとジタクジャ)




「春、だね」
「春だな」

今日は珍しいセシルとスコールのコンビ。
二人並んで晴天の空の下日向ぼっこをしていた。

「春と言えば」
「桜」
「流石はスコール!わかってるね〜」
「・・・・・何が目的だ?」

スコールの呆れた目に怯むことなく、セシルは微笑み宣言した。

「お花見行こう!」



異説花見会場〜秩序のないカオス空間へ〜




「ね。いいでしょお父さんお母さん」
「誰がお父さんだ」
「誰がお母さんだ」

ナイスなハモり突っ込みをするのは、秩序大好きお父さんことウォーリアと、器用なため、お母さんポジションを押し付けられたフリオニール。
珍しくセシルがごねていることに、他の面々も興味津々で居間に集まって来た。

「だってせっかくの春だしいい天気だし。お花見やってみたいし!」
「花見?面白そうッス!!」
「オレも賛成ー!!」
「場所取りに行こうぜ!」

ノリノリなのは相変わらずのお馬鹿三人組。珍しくクラウドも興味津々なようだ。

「花見ねぇ・・・ティナはどうする?」
「いいんじゃない?私も興味あるな」
「う〜ん、悪くないけどウォル達が・・・・・」
「一刻も早く戦いを終わらさなければ」
「あら、元々真面目に戦ってなくてよ」
「あ、シャントット」

初登場シャントット。ティナとは少ない女性同士、仲がいいようである。
それはともかく。他の面々からは賛成の声が上がるが、最後の砦が渋っている。

「いいじゃないですか。一日休んだからって世界は滅びませんよ」
「(いや、滅ぶと思う。負けてるのはアンタだろ)」
「コスモスが言うなら」
「待てリーダー」

コスモスの一声で、あっさり流された我らがリーダー、ウォーリア。正直スコールはこの世界はもう駄目だと思った。
最後の砦が崩れたことにムードメーカー三人とセシルがニヤリと笑い、フリオニールに照準を合わせた。

「いいでしょ?ね?」
「いや、でも家事が・・・・・」

断る理由がお母さんそのものである。
その言葉を聞いた途端、何を思ったかセシルが目を細めて嫌な光りを放った。

「・・・・・昨日の夜、見たんだけどな。君がカオスの陣営に行って夜ば」
「わあぁぁぁぁぁぁ!!!!わかった!わかったから!!」

顔を真っ赤にして純粋ぶってるが、やってることは夜這いである。彼にとっては知られたくないらしいことらしい。
だが、残念。フリオニールが宿敵の皇帝の元に行っているのは周知である、バレバレである。

「何でセシルが知ってるんだ?」
「まさかお前も昨日向こうに行ったとか?」
「それとものばらについて行ったんスか?」
「あはは、まさか!」

上品に笑う彼。だが、咄嗟に鎧へと隠した手帳にスコールは冷や汗を流す。きっと弱味を書いてるに違いない。
しかし恐れを知らない奴らもいるものだ。天然恐るべし、無邪気に尋ねるティーダに周囲は真っ青である。

「混沌 ・・・・・・ストーカー ・・・・・・ 」
「うっ、頭が ・・・・・・ 」

こちらは別の意味で真っ青である。クラウドとジタンが座った目でうなり声を上げて硬直しているいる。オニオン、ティナにエスナをかけられながら。

「話が進みませんわ。早く行かなくて?」
「あぁ行く行く!!」
「ジータン!行くッスよー」

混乱して頭を抱えるジタンをティーダが容赦なくひっぱたき、バッツが腕を組んで引きずりだす。
クラウドはティーダが子供のように手をつかんで連れていく。扱いが違うのは、もうお約束。勿論、待っている展開もお約束である。


***

「日光浴がしたい」
「だから何です?」
「だから何だ」


珍しくエクスデスが発言すると思えばこんな言葉だった。
鏡を見ながらうっとりするクジャ、眠そうに頬杖をつく皇帝、正宗を研ぎながら不気味に笑うセフィロス、ごろ寝して大イビキをかくジェクト、わけのわからない魔法薬を弄るケフカ、真面目に混沌の戦士らをどうするか話し合うガーランドとゴルベーザ、そして鬱でも入っているのか暗くなるガブラス。
この面子以外が、怪訝な顔で野鳥の止まり木を見た。

「外は快晴だ」
「そうじゃな」
「快晴だ」
「しつこいですよ」

女性二人に言い負かされて、何か「カメェェェェ!!」とか叫びだした。どうやらキレると叫ぶらしい。

「でも確かにいい天気だよね〜。こんな鬱集団といないでジタンの所に遊びに行こうっと」
「黙れ絶滅寸前重症レア種ナルシスト。誰が鬱集団だ」
「特にアンタだよ。引き込もって策ばっか練ってロクに表舞台に出たがらないクセに」

・・・・・・

「絶対の君臨だ!!」
「いざなってあげるよ!!!」

派手に火花が散りだしたが、誰も止めない。
ノソノソと入り口に向かうエクスデスと、「秩序に遊びに行きましょう」と準備をし出す暗闇の雲とアルテミシア。
そんなうるさい空間でも寝ていられるのが混沌クオリティーだが、今日は進まないので起きてもらうことにした。
ジェクトに。

「ふわぁぁ、暇なら花見でもすりゃいいだろうが。酒があるなら俺も行くぜ」

春ではあるし、時期的にはぴったりではある。ジェクトは欠伸混じりで首を鳴らす。
それに反応したのはケフカだ。

「何が悲しくてこのメンバーで行かなきゃいけないのさぁ!」
「 ・・・・・・はっ! クラウドもくるようだ。私は行くぞ」
「例のセンサーか」
「キモいな」
「ならティナもくる!?ならボクちんも行く行くっ!」

セフィロスは公認百発百中クラウドセンサーではあるが、理解したら負けである。ティナがくるとわかれば、熱い手のひら返しをされるのもつっこんだら負けである。
遠くから話が耳に入り女性二人は足を止めて「そっちに行くか」と話し合っているのも聞こえる。

「ジタンもいるのかい!?」
「余所見か貴様!!」

ジタンが来る、ということにパアッと顔を明るくしたクジャは、飛んできたフレアを完全無視。盾代わりにエクスデスに飛び付いた。跳ね返せないからってこれはひどい。

「皇帝、オメェは行かねぇのか?」

エクスデスに着弾する前にあっさりジェクトに返され、自分が逃げ惑う皇帝。勿論答えられる筈もなく。

「ウボァァァァァ!!」
「全員出席だな」

勝利のファンファーレが鳴る前にケフカに首根っこを捕まれ、追い撃ちの如く引きずられる。本当に好き勝手に動く奴らに、苦労人はため息をついた。

「皆、戦う気がないな」
「またアレらのお守りか」
「シャントットがいるのか・・・・・」
「ファファファ」

一人だけ楽しそうなエクスデスが、笑いを残して消えていった

*

会場についた途端、

「あれ、エクスデス?お前いいとこ取ってるなー!」
「ファファファ。隣にくるか小僧」

あ!野生の大木が現れた!
どうする?
たたかう
アイテム
叫ぶ
逃げる

「行く行く♪」

決定は突撃するだった。

「バッツー。場所取りしろー。そんな殺風景な小高い丘じゃ花見にならねぇだろー」

ジタンが頭で水筒のバランスをとってる間に、バッツは一番高い岡の上に腰を下ろしてしまった。
諦めてきびすを返すと、ティーダがワナワナと震えていた。怖いほどに。

「むしろ木がいるなら他にもいる筈ッス。用心しないと、あれはバッツの気を引く罠かも!?」
「何の罠だ。それに木はいつも光合成して酸素出す道場師範なだけで、無害だろ」
「甘いねクラウド。プロが使うと超有害だよ?」
「お前ら、よく木について語りだすな・・・・・」

皆大木先生大好きですから。
わかる人にしかわからない異説談義に花を咲かす秩序組。そんなことよりも桜を咲かせるべきだと思います。
だが、異変は勿論やってくる。いち早く悪寒を感じたのはジタンだった。

「・・・ヤな予感がする・・・・近いぞ!」
「ジターン!!!」
「飛んでけぇぇぇぇぇ!!!!」

突撃してきたクジャに、どこぞのロボットアニメのキャラのような反応速度で応戦する。うまくぶち当たって吹き飛んで入ったが、きっとすぐ帰ってくるだろう。

「ジタン。間違っても桜を折るなよ?公共の者達に迷惑だ。」
「公共の?え、この世界には秩序と混沌とイミテーションしかいないよね?」

似合わず蓙を抱えるウォルに、バスケットを抱えるフリオニール。親が心配したところで、逆上した子供の耳には入っていない。
追い討ちのように心なき天使が聞こえてくる。テーマ曲をバックに突撃してくるセフィロスに、クラウドのファイガが炸裂。
いつもの如く、酷くなってきたが、桜は無事です。ご安心を。

「まぁ突っ込んだら敗けですよ」
「二重の意味で」
「そうじゃ。こっちへ来るか?獅子よ」

女性は優しかった。

「アイツらは脳内がカオスだからな」

酷いよゴルベーザさん。

「そうだよ〜面倒だし平和な世界に避難するのは正攻法だよ〜」

光と闇が合わさって聖騎士に見える。
悪魔と堕天使の誘いに困惑するスコールは、考えていた。
現実逃避を兼ねて逃げ出すか、このまま戦うか悩んでいた。

「いやしかし」
「もうマジいい加減にしろよクジャァァァァァァ!!!!」
「逃がさないよ!!」
「近距離ホーリーかよ!?なめんな!!」
「甘いね ・・・・・・これは拘束用のバインドさ! 」
「お前、システムにない技を作るんじゃねえ!」

「ちょっ!親父!?何やってんだよ!?」
「おぉオメェか。飲むか?」
「飲まねぇ!!オレは未成年だっての!!」
「ヘッ、まだまだガキだな。俺がお前くらいにはもうー」
「上等だ!!!飲んでやるよ!!!」

「セフィロス」
「何だ」
「キモいぞ」
「嘘だな。照れるな」
「鼻血を止めろ」
「そんなもの流れてない」
「鼻血を止めろ変態」
「私は変態ではない」
「鼻血を止めろ変態露出狂」
「今日は服を着ている」
「鼻血を止めろ変態露出狂ストーカー」
「ストーカーではない。護衛だ」
「鼻血を」

「ティナ〜」
「来たな道化ぇぇぇぇ!!!消えろぉぉぉぉ!!!!」
「ボクちん何にもしてないよぅ!!」
「タマちゃん・・・頑張れ」
「任せてティナ!悪霊退散!!」

「あら、負け犬ですわね」
「負け犬ではない!!」
「じゃあこの前尻尾を巻いて逃げたのは、どこの鎧かしら?」
「・・・・・」
「無様ね」

「・・・・・・・・・・お邪魔させてもらう。」
「そうだ。諦めろスコール。」
「儂らにもあれは止めれん。皇帝達に任せておれ」

あまりの惨劇に、スコールの孤高の精神が折れた。初代組はもうアルテミシアと暗闇の雲主宰のお茶会に参加している始末。業に近寄らば業に従えである。
その名指しをされた皇帝は。

「何故私がこのようなことを・・・・・」
「まぁまぁ。ボランティアだと思って」
「ボランティアというガラではない」
「じゃあ俺のためだと思って」
「まぁそれなら・・・・・あ!?待て、今流されかけたぞ」
「素直になれよ。じゃあのばらのため」
「逃げ惑え」

「いい雰囲気ですね」
「ツンデレじゃな」

桜の木死守の為に爆弾をばら蒔く二人を眺め、微笑む貴腐人達。
フレアで逃げ惑うフリオは最早海岸で「捕まえてごら〜ん☆」のノリで見えている。恐るべし。
だが現実は非常である。当たれば死ぬのである。フリオニールは最早悪鬼の顔をしているのである。

「というか、木の近くに爆弾はまずくないのか?」
「大丈夫だ。彼らの侵入を防げればよい」

いや全然よくない。
だが口にしたところで流されるに決まっている。スコールのツッコミは心の中に消えてしまった。
と、さっそく問題発生である。

「ちょっ、うわっ!!何だこの罠!?皇帝か!?」
「今回だけ褒めてあげるよ皇帝!」
「いらん。気持ち悪い。虫酸が走る」
「クラウド・・・スティックボムにハメられると痛いな」
「だからどうした。これで終わりだ ・・・・・・ 」

早速二名に被害が出ました。まぁ特に問題はないのでいいでしょう。

「危ない!!」
「いったぁぁぁい!危ないのは君でしょ!?」
「ありがとうフリオニール☆いっけぇぇぇぇぇファイガァァァァ!!!」

桜にぶつかろうとしたケフカにストレートアローが直撃。
来た道を戻るケフカにオニオンの魔の手が距離を詰め・・・・・あとはご察しください。

「いつもこんな感じですの?」
「うん」

惨状に呆れ半分楽しみ半分のシャントットに、ティナは笑顔で答える。余談だが、シャントットはガブラスに座っている。土下座椅子である。

「でも、楽しいから」
「まぁ・・・そうですわね。」

いや楽しくない、というガブラスの心の叫びは届かない。ほのぼのと蚊帳の外を決め込むお茶会メンバーの元へ、一人の少年がやってきた。
親父という名の酔っぱらいに絡まれていた息子兼被害者、ティーダである。
だが、様子がおかしい。



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