えふえふ | ナノ



*暖かい

ある昼下がり。作戦もマザーからの命もなく、あてもなくさ迷っている時だった。
クラスの外の、木陰の袂。ベンチに座り太陽に身をゆだねているのはクラスメイトではないか。

(寝ている…な)

穏やかな表情と、規則正しい呼吸。新たなるクラスと、過剰な労働に疲れが溜まっていたのか、起きる気配はない。
先ほども説明した通り、特に用事もなければ暇をして困っていたほどだ。こんな時こそ鍛錬を怠らないのがいいのだろうが、体に休息を与えるのも立派な鍛錬だ、と幼稚な言い訳を考えてもみた。
左右へ元気よく跳ねる毛は、見た目通り柔らかい。流れにそって撫でる度に踊る様は、笑みを作り出す。さすがに触れる行為に違和感を感じたか、身じろぎし唸り声が聞こえた。一旦引いたほうが良さそうである。
しかし心配などいらなかった。すぐ規則を取り戻した寝息は、安定した寝床を探し始める。丁度いいもの――キングの肩を見つけると、体を預け満足そうに小さく笑った。

(やれやれ)

逃げられないなら無理に逃げることもない。我が子を慈しむ親のような笑みが、暖かさを生んだ。

++++
起きたらまず弁解から始まる

11.12.14

[ 16/792 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -