コード・クリムゾン!
「エイト、キング。あなた達に頼みたいことがあるのだけれども、いいかしら。」
いきなり、の個人的な呼び出し。マザーからの頼みであれば、断る理由など何もない……そう思っていた時機が、俺たちにもありました。
「…何で、俺たちなんだろうな。」
「仕方ないだろう、もう一つの件はクイーンとセブンの担当だろう。」
「あの二人、確実に逃げただろう………」
選ばれた四人に課せられた自称クリムゾンコードは『零組新入生の監視』。
嘆く二人の監視対象とは勿論、
「マキナなんて、エースがいつもいるから見張るもなにもないだろうに……」
マキナ・クナギリ。現在、目の前でエースに捕獲及び拘束をされ、金切り声を上げている最中である。
「マキナ、なんでそんなに恥ずかしがるんだ?僕がツンデレ萌だと知ってのサービスなのか?」
「今後の真っ当な人生存続の危機に叫ぶことはツンデレなのか!?俺、今日から素直になるから!」
「こ、困るな……どこでも甘えられたら流石の僕の息子m」
「おまわりさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
場所は朱雀像前。
人の目なんて気にしない。
二人の姿なんて始めからなかった。
マキナは最早真っ青。
エースのがとにかく凄く気持ち悪い。
「…助けないと、この話はパスワード制になってしまうぞ。」
「いや、ここは冷静に考えろ。…一々出て行っていたら、さすがに尾行がバレる。」
公然猥褻は、これからずっと起こること前提だそうです。
「ならば、このまま管理人が台詞にモザイクをかけるのを待つというのか?」
キングさん、当サイトはメタ発言をご遠慮させていただいております。
「キング。……エースの胸を撃て。そうすれば止まる。」
まさか、躊躇わずに息の根を止めにかかるとは、相当エイトは彼にトラウマを植え付けられたようだ。顔は真剣、目は死んでる、鋭い指の動きだけが空気を切り裂き音をたてる。
勿論、キングは了承しない
「わかった。」
わけがないわけがなかった。
躊躇わずに弾を込めると、鈍い音を立てる安全ピン。指に迷いなどなかった。一寸の狂いもなく左胸を打ち抜いた弾に、エースのうなり声。これは普通に事件である。
「な、なんだったんだ……」
しかし、まさか、なんとエースは生きていた。
「胸のロケットがなければ確実に死んで――」
「没収及び拝見。」
………
「ちょっと待てよ。何でこの写真の拝見が俺の部屋なんだ。しかも俺半裸だし。」
「フォト●ョップって凄いよ。簡単に写真の加工が出来るんだからね。」
「エース、違うだろ?盗撮だろ、なっ?」
「違う違う。」
「暑くなったな……上でも脱ごうか…」
「!!」
「今すぐ入れた手で右ポケットをひっくり返せ!さもなくば――」
パーン
「…カメラを……うん、どこかの誰か、ありがとう。」
いきなりどこからともなく飛んできた銃弾が、エースのポケットとカメラだけを貫いた。某有名な殺し屋すら真っ青な腕前である。
「キング、ナイスフォロー。」
「今のは反射だ……」
哀れ、粉々になったカメラとエースの悲痛な慟哭が魔導院に響き渡る朝の日常。
余談だが、この声は院内の者たちに多大な恐怖を植え付け、今も七不思議『怪奇!ライカンスロープの雄叫び』として受け継がれているのである。
「でも不思議だな。何故マキナはエースと一緒にいるんだ。」
「………Mだから。」
「まかそんな答えが来るとは思ってもなかった。」
エイト顔負けの速さで自室へ帰還するエースから逃げるように、マキナと尾行係は今クリスタリウムにいた。さすがのエースも、人の迷惑になることはしまい、と静寂を義務づけられる地を選んだだけのようである。一冊の本に執着することはない。
「『十時より一時間、動きなし』か。平和っていいな。」
「エイト、油断するな。くるぞ。」
キラリ、と本棚の隙間が光った気がした。確か、カヅサの研究室のある隠し扉があるところではないだろうか。嫌な予感しかしない。
「ここでは流石に煙硝反応を出すのはマズい。」
「よし、毒弾を投げ込もう。」
煙硝反応よりもマズい気がします。
本を溶かさぬよう、毒弾(ケイト特製)を隙間へと流し込み待つこと数分間。
「っがは!何だいきなり!?僕じゃなかったら溶けてたぞ。」
「エースなら溶けないのか…」
さすがのエース。慣れているのかは知りませんが、ポイズンには耐性があるようです。
「しかしこの邪気、一体何者なんだ……何故今日はカメラが狙われる…」
「アイツにだけは邪気とか言われたくないな。」
「ああ。」
独り言が多い云々より、突っ込みどころはそっちにあるようです。
「ッハ!まさか僕の追っかけ?僕がマキナしか見ていないから嫉妬しているのか…」
まさかの、結論。
「キング…一人くらいいなくなっても問題ないだろうか…」
「いや、…そうか……クリスタルがいるから心配はいらないか…魔法さえあればエースはいらないな…。」
管理人としては、結構困りますけどね。マキナは仕事しませんから…って話がずれました。
只今の状況確認です。
調子に乗って暴走するエースと、邪気を感じて本棚を背に、威嚇を始めるマキナ。もうツッコミすら面倒なキングと、疲れによりSAN値が直葬したエイト。
いいカオスです。
「…で、貴方たちはいつまでバカな事してるんですか。」
背後からかかった声は、トレイと言う名の救世主のものでした。
→何故続いた
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