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まずは、第一犠牲者発見。
「マキナ?さっきまたどっか行ったぞコラア。」
「ああ?誰の許可を得てマキナと会話してんだオラァ!」
「は?マキナと話すのに許可なんかいんのかアァン?」
「エースは黙ってくださいっつーか黙れ。」
犠牲者、もとい発見者はリフレで早めの夕食をかっくらうナイン。いきなりつっかかった不良は放っておくが吉。もうこのボケも飽きてくる頃である。
さて彼の話を聞いてみよう。
別にナインはマキナを探しているわけではなく、たまたま見かけただけだった。何かを思い悩んだ様子で立ち竦む彼に話しかけたのはほんの数十分前。
どうでもいいが、その時不審者組は皆の注目を一身に浴びながら不毛な言い争いをしていた。
『ん?おお、マキナじゃねえか。どうしたんだ?』
『え、あ、ち、違うっ違うからな!一緒に食べたいとかそんなんじゃなく…っ』
『何の話だコラァ。』
『なんだ、ナインか……』
何を焦っていたかは知らないが、顔は真っ赤であり汗も滝のように流れている。
『で、どうした?腹減ってんのか。』
食べかけのスプーンを出せば、誘惑に負けたのか、一口。自分の行動に我には返るが、嬉しそうなナインを見ていると拍子抜けしてしまう。
『うー……ナイン。お前なら、』
「あ。この話は内緒って言われたんだったぜ、コラ。」
いいところで話を中断するとは、何事か。真相に迫るつもりがストレスを増やしてしまった。
「えー?ナインの食べさしをあげちゃったのー?憎いよー。」
「狡いじゃないのか。」
「憎いとか狡いとか羨ましいを超えた境地に踏み入りそうだ。」
そうでもなかった。どうでもいいようで、彼らにとってはどうでもよくないことに気が逸らされて、話の本筋が見失われてしまった。
「で、マキナはどこへ?」
「だから秘密って言われたんだよコラア。」
「秘密と言われたところは隠していい。」
「『あー…ナインなら、●を●●●ら嬉しい?』って言って…」
「誰もモザイクをかけて語り直せとは言ってない。」
「(尻)を(掘)(れ)(た)ら。」
「(俺)を(抱)(け)(た)ら。」
「マ、マキナ…そんなに淫乱に…っ」
バカをやって誤爆したエースと、ナニを妄想したのか鼻を抑えたトレイは放っておこう。
「で、マキナの行き先は?正直に言わないとお前の夕飯はジャックの腹に消える。」
「え?食べていいの?新しいスプーンとって〜。」
「し、知らねえよコラァ!ただ買い物行ってくるって言ってたぞ!」
「よし。ジャッキー、待て。」
「ワン。」
ノリよく反射で鳴き真似までしたジャックには、後にマキナの食べさしが与えられたという。
さてさて、他のクラスをシメ、もとい話を聞いていったが、どうやらマキナは街まで出掛けたらしい。一匹のチョコボ・ショコラ(マキナ命名)が消えているし、信憑性はある。
どこの街に行ったかはわからない。もしかしたら遠くまで出掛けたのかもしれない。チョコラ♀は超音速チョコボである。
こうなれば対策は一つ。
「マキナセンサーに頼ろう。」
要するに、感の別名である。
「エース一人で行きなよ。僕は待ってるからさ〜。」
「そうです。動かない方が吉です。」
「でももしマキナの恥ずかしい秘密握っても僕だけの秘密にするから。」
「お前…弱みが握りたいだけだったのか……」
「何してるんだお前たち。」
聞き覚えがあると思ったら、声の主はエイトだった。確実に彼らの珍道中の事は同じクラスのエイトの耳にも入っているようで、呆れた顔がそれを物語っている。
「『0組の一部が御乱心だ』って噂になってるぞ。」
「今更、今更。」
「しかし珍しいな。エイトがチョコボを見にくるなんて。」
「ちょっと、な。」
振り返り首だけで合図するエイトの視線を追うと、チョコボが一匹テケテケ歩いてくる。青い手綱をつけているのは、ショコラしかいない。
「あれ?エイトが借りていたのですか?」
「まあな。」
「ショコラ。ホラおいで。」
チョコボ好きというかなんというか。手を伸ばすエースに、ショコラは上擦った声で鳴き羽を膨らませる。あ、ヤバいと感じた矢先の必殺技チョコボキック。
見事顔面にめり込んでいたし、これはご愁傷様であろう。
「あれ、これって……エイト。マキナが近くにいるな。」
「どうして?」
「いや、ショコラはマキナが一緒にいると凶暴になるから。」
二人の時は痰吐くだけなのに、ねえ?と言ったそばから痰を吐きかけられた。別に規則があるわけではないらしい。
キュピ、と機嫌よく鳴くショコラの隣にうっすら現れ始めたのは人の姿。どうやらインビジで隠れていたらしい。今は諦めているが、気付いてほしい。インビジは隠れんぼに使う魔法ではない、見つかりたくない時に使うものだと。
「マキナぁぁぁぁぁぁぁ放課後別れてから3時間22分53秒も会ってなかった!」
「マキナ。何していたんだ?ずっと変質者が付け狙っていたぞ。」
「怖い!」
ええ本当に。
「俺は、その…………エース、これ。」
差し出されたのは黄色い羽だった。見覚えがあるのだが、あ、そうだ。
「チョコボの羽?」
「いいお守りになるって聞いたからさ。…高価なものじゃないけど。」
「高価でなくても、マキナが触ったものなら何でもいい。でも、なんで?」
「遅くなったけど、ホワイトデーっていう風習があるらしいから……。」
言うことだけを振り絞り、早々にマキナはショコラの盾に隠れてしまった。相当勇気と力を使ってしまったらしい。
「なんだ。残念。」
「おい、今の残念ってなんだ残念って。」
「こっちの話。」
咄嗟に構えられた拳が怖い。
素直にありがとう、と礼を告げると照れくさそうに俯き頬をかいた。
「しかしマキナ。」
「ん?」
「…なんであんな変態に惚れてしまったのです。」
「……惚れたものは惚れてしまったんだから、何も言わないでくれ。」
後悔と、心労の嵩んだ表情から、彼に問題があることは認めている。
(だがトレイ、お前も十分変態だったぞ)
キングの密告用に撮っていた写真には、鼻血を流した変態の姿が。
+END
++++
●を●●●ら嬉しい
(何)を(貰)(っ)(た)ら嬉しい
こんにちはこんばんは綺更様。
数分という僅差できたし、得意(笑)なネタでしたので、やらせていただきました!
10000hit企画でいただいたネタ『エーマキおち/マキナ総受け(変態エース)』です!
秘密裏に動くマキナを、ストーカーするA3JK…というコンセプトでやりましたが、すみませんすみません悪乗りが過ぎましたすみません!!
「これはひどい」とかいろいろご不満がありましたら書き直ししますので!失礼しますっ
12.3.27
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[mokuji]
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