ミッション!
※10000hit企画
※いつも以上に頭悪い
いつもマキナ、いやエースには話題が事欠かない。
「最近マキナの様子がおかしい!!」
いつもながらというかなんというか、エースは何を言い出すかわからない。今日は一体どれだけ頭の悪いことを言い出すかと思えばこれだ。
まさか本人も出入りの多い教室の教卓で酔狂なことを叫びだすとは。まさか、いやそのまさか。夢にまで思うまい。
「一番様子がおかしいのはエースだよな。」
「僕は普通だ。どこがおかしいのか聞かせてくれ。」
「貴方の普通の基準が理解し難いので、発言は控えます。が、まず本人が出て行った矢先に叫び出すその根性と言いましょうか。」
他にもおかしいことはあるが、この辺で勘弁してやろう。
「マキナにおかしいところはない。」
「そうだよ〜。おかしいのはエースの頭だけで十分だよ〜。」
逃げ出した者もいるというのに、未だに残っている二人も優しいというか人がいいというか、欲丸出しというか。
「なんだと!なら確かめようか。」
「…どうやって?」
「尾行だよ、尾行!」
かくして、有無も言わせぬエースのいい顔により、犯罪予備軍たちの作戦は始まったのである。
何も知らないマキナは、早足に魔法陣へと向かう。たまに後ろを振り返り、何かを探しているようだが、"探している"ではなく、"警戒している"のだ。それが更にエースたちの好奇心を刺激する。
「マキナ、着替えに行くのか?どこで着替えるんだ!?ハァハァハァ」
「何故着替えになるんです。」
「キョロキョロしてる場合、十中八九恥ずかしいことをする時だ。胸が小さいマキナは人前で着替えることを恥ているんだ、きっとそうだ。」
「恥ずかしいのはお前の発想だ。」
「いや〜でもあながち間違ってないかもよ〜?」
何を見つけたのか、ジャックの口が更に弧を描く。
「あの警戒は知人に対してだよ。だから、見られたくないことをしている、ってことじゃない〜?」
「なるほど…」
「ジャック…」
ジャックの観察眼に感嘆の声を漏らすものが二名。
「ナニ『マキナのことなら何でも知ってる』みたいな言い方をしているんだ!!」
理不尽に逆ギレする者が一名。
「いろいろ知ってるよー。マキナは辛いものが苦手なんだ。あと猫舌。」
「高い所が好きで、お気に入りは風通しのいいところです。」
「夕方にはいつも墓地にいる。」
「何を!?マキナには蒙古斑があるんだぞ!」
一人、情報が明らかにおかしい。
「僕のマキナを見るなんて許さない!お義兄さんの写真で我慢しろ!」
「あまり似てないからやだー。」
似てたらいいという問題でもないだろうに。エースとジャックのボケがノンストップである。
「っと、誰か来ましたよ……」
あれは確か、見覚えがある。オールバックにバンダナ、明るく人懐っこい表情を浮かべるのは、ナ
「ナ…ナントカだよな。」
最近接点の多くなってきたわりに、記憶にも残っていない(ただしエースに限る)ナントカは、真っ直ぐマキナに近付くと肩を叩いた。勿論それだけでエースの顔は凄い有り様だ。
「ナントカァァァァァ!!皆が知ってる名前だからって調子に乗るなァァァァァ!!マキナに触るなァァァァァ!!」
「俺たちとマキナ以外の顔と名前くらい覚えろ。」
「お前も誰?」
どうやら悪意ではなく、本気のようです。技を四つまでしか覚えられない某ゲームのモンスター並の知力になっているようです。クリスタルもびっくりの忘却力である。
冗談はさておき。ナントカ、改めナギを見て驚き、いくつか言葉わ交わしながら焦り赤くなり、百面相を繰り広げる。まるで恋人であるような二人に一部の羨望の籠もった視線が集まる。
何を話していたのかは知らないが、背中を押されたことにより、マキナの姿は魔法陣へと消えた。
残されたのは、ナギの勝ち誇った笑みのみである。
「アイツ、気付いていたのか!僕の完璧な尾行に…」
いうまでもないが、先程のマキナとナギを見ていた一部以外、全てがこのストーカーたちを見て見ぬ振りを決め込もうと涙ぐましい努力をしている。
「ナギもマキナ狙いだっけ〜?何考えてるかわからない人だからなぁ……今のうちにナントカしちゃおっか。」
「ナントカとシちゃう?」
「エースはもう何も喋らないでくれるかな〜?」
話が一向に進まなくなりますのでこちらからもお願い致します。
どこへ行ったかはわからないが、このまま野放しにしておくわけにもいかない、エースの心情的にも、話のオチとしても。
という中途半端なところで、次へ続く。
[ 663/792 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]