妹の心兄知らず
※8888hitキリ番
※イザナ生存
0組の日常は、普通であり普通であらず。
戦いにおいても私生活においても、やはり他の候補生たちと違っている。
「マキナは可愛いなぁ。」
「な、なんだよいきなり…」
「可愛いものに可愛い、って言うのはおかしい?」
「おかしくはない、けど…」
「じゃあ、"可愛い"。」
「…エースのばか……」
教室きら、恒例の挨拶が今日も朝から聞こえてくる。から、ということは勿論、昼にも夜にも行われる、ということだ。
休憩時間になってもこの様子は変わらない。エースがマキナにひっつき、マキナも満更ではない、と顔を赤らめながらも受け入れるのみである。
「マキナ。ちょっといいですか?」
「何?」
代わりに答えたのはエース。遅れてマキナもトレイを見上げてくる。
「貴方に来訪者です。」
「またお偉方、かな?部屋で女生徒と二人きり、いやマキナと二人きりなんてクリスタルが許しても僕が許さない。」
「いえ、違います。クリスタルを変な例えに使わないでください。」
ちらりと扉を振り返り、意味深な笑みを浮かべる。二人はいやな予感を禁じざるを得ない。
「まさか、報告書に不備が…」
「一緒にやったんだ。大丈夫さ。」
「貴方が一緒だから問題なのでは。」
人目を憚らず自分たちの世界へと舞い戻ろうとする二人を、素早く拘束する。
教室の端で、小さく拍手が聞こえてきた。
「じゃあ誰が…」
「マキナ。」
聞き覚えのある声に、マキナの動きが止まる。エースも首を傾げていたが、思いたる人物が見つかったらしい、苦い顔の眉間に深くシワが刻まれる。
「兄さん…」
「よっ。元気か?最近顔見てなかったからな。」
ここでは見慣れぬ朱いフードを顔を隠すように被り、爽やかな笑みを浮かべる青年が、そこにいた。
「一緒にいるのはチョコボの少年か?」
「…最初の作戦では世話になった。」
「いいって。礼を言うのはオレの方だ。」
教室の中へと進むイザナに興味深々な視線を送る、0組一同。この男のことは知らないが、笑顔を見せるということは悪意を持つものではない――と思った矢先。
「なんで『オレの』マキナにぴったりくっついてんだ?」
「君の、じゃない。仲が悪いと言っていたのに、妹離れ出来ていないな。」
「マキナも。年頃の異性がぴったりくっつくものじゃない。」
無理矢理引き剥がそうとするイザナだが、マキナは距離を置こうとはしない。むしろ、さらに密着しイザナを睨みつけた。
悪意はない、だが害はあるようだ。
「オレたち、付き合ってるんだ。」
一瞬何を言われたかわからない、という彼の悲痛の叫びが表情から読み取れた。
「な…、え、なんだって…?」
「兄さんには伝えてなかったけど、エースとは付き合っている…」
「いつからだ?最近、会わなくなったのは、まさか…」
「その時期だな、確か。」
どうやらマキナの言葉が胸に深く突き刺さったらしい。イザナの顔から表情が消え、一歩一歩ゆっくり後退していく。
「な、なんでオレに相談してくれなかった…?」
「相談する間がなかった。」
「まさか、子供は…」
「出来てない。エースはしっかりしてるから。」
な?と目で語る二人の間に入れる余地はない。イチャイチャし始めるバカップルに、他の者は完全に興味を失ってしまったようだ。一人を除いては。
「ダメだぞマキナ!そういうことは、まずよく話し合って考えてからだな…っ」
「オレももう子供じゃないんだ。自分の事くらい自分で決めるさ。」
「でもな…っ」
「イザナ。もうやめるんだ。お兄さんがこんな様では目も当てられない。」
「お前にお義兄さんと言われる筋合いはないが?」
前触れなく睨まれても困る。恨まれることはした覚えはないし、エースも首を傾げるのは当たり前である。
「マキナ、こっちにこい。」
「ち、ちょっと兄さん…」
腕を無理矢理引かれ、腕へと閉じ込められる始末。ため息をつこうが本人はエースと一方的な睨み合いをしており気付かない。
「妹を誑かしているんじゃないだろうな?」
「兄さん!それ以上言うとオレ、兄さんのこと嫌いになるからな!!」
シスコンというかなんというか、それ以上言い返さなくなった。
「…わかった、ならばこれ以上は首を突っ込まない。」
わかってくれたのか、安心。去っていく背中から物悲しいものを感じたが、仕方がない。
「本当にわかってくれたのか…」
「さぁ?」
エースの予感は当たっていた。後日、0組隊長であるクラサメとイザナがもめている姿を目撃したという。
「これは、家族としての心配です!妹の授業風景をこの目で見ておくくらいいいでしょう。」
「…ここは普通の学校ではないのだが。」
「授業参観制度でも、取り入れるつもりなのか…」
「さぁ〜?マキナンも大変だね〜。」
やれやれ、波乱万丈な日々はまだまだ続く。
+END
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こんにちは伊里様。またまたキリ番おめでとうございます(笑
『エマキ♀+イザナ イザナ生存でエマキがいちゃいちゃしてたらイザナ乱入』というリクエストをいただきましたが…いやはや、ギャグにしていいのかイザ→マキ♀にしていいものかと考えているうちに手が勝手に(笑)中途半端になってしまいました;;;
修正はいつでも受け付けますので(´・ω・ノ┃壁
ではではいつもありがとうございますm(_ _)m
12.2.26
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[mokuji]
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