よんアザ | ナノ



愛情の裏返し

※ネタ募集品

※後天的にょた


何故こんなことになったのか。
佐隈とのんびり街を歩いていたはずなのだが、今隣ににる人物は佐隈ではない。しかも強引に引き回しされてはたまったものではない。
流石に傲慢、昔からわかっていたことだが引き回している本人が最高に上機嫌なのがまた腹正しい。

「おいおい、もっと嬉しそうにしろよ。この俺がエスコートしてやってんだぜ?1000年に一人、いや他に例がないほどの幸せ者だぜ!?」

「黙って歩け。」

思い切り足を蹴っているのだが、ダメージは0に近い。いかんせん今は女の体であるから仕方ないだろう。
アザゼルからの呪いを食らったのは事故である。芥辺をギャフンと言わせてやる、といきがったが見事失敗。跳ね返った呪いはベルゼブブに直撃してこのザマである。悪いのはアザゼルだが、芥辺は聞く耳を持たないし、呪いの力も芥辺が関与した影響かアザゼルには直せない。挙げ句芥辺は面倒だと外出してしまったしという絶望的状況なのである。
佐隈は何故か嬉しそうにベルゼブブを外に連れ出し、カレーをご馳走する…と言っていた矢先に遭遇したのがこの男、ルシファー。半ば誘拐の形で佐隈から引き剥がされ…今に至る。

「しっかしあっちゃんもやるなぁ…とんでもな趣味のお坊ちゃんを、この俺様の横に並んでも問題ない女にしちまうとは……」

「帰る。」

「そうはさせねえよ。」

無自覚だろうか、全くこの男は人を怒らせるのがうまい。ただでさえ醜態を見られたらことに苛立ちを覚えているのにこれ以上貶されてたまるか。だが細い腕を捕まれては逃げることも出来ない。

「つまんねー人間界だがデートはデートだ。特別に行きたいところへこのルシファーが付き合ってやるんだぜ?普通は泣いてして喜ぶところだぜ!?」

「わかった。わかったがら黙れ!目立つ!」

元より美男美女のペアとして人の目を引いていたのに、今や少人数ながら野次馬が出来る始末。別れた瞬間にベルゼブブを奪おうと企んでいるであろう男の姿も見受けられる。

「んじゃ、俺様の俺様のための俺様による完璧なエスコートで、他の男との格差を教えてやるよ!」

強気に笑った、と思えばいきなりの浮遊感。腰と肩に感じる手に近くに見える奴の顔……これは、まさか。

「ピ、ピギャァアアアアアアアア!!!」

周りの女の黄色い悲鳴とベルゼブブからの絶叫が嫌なハーモニーを生み出した。講習面前で、しかも屈辱的な姫抱きという不意打ちに脳内パニック、顔を焼けたように熱い。

「軽いなぁお前…あ、俺様が力がありすぎるのか?」

「お、下ろせ!下ろせ下ろせ!」

「泣いて喜ぶ心中察するぜ……後でこのルシファー様が更なる天国も見せてやるから我慢してろ、な?」

「思いやがるなよ勘違いのナル野郎!」

今更ベルゼブブの口から飛び出す罵詈雑言に怯むルシファーではない。歯を見せ笑うと、ベルゼブブは押し黙った。

「さ、行くか。」

(…まぁ、今日だけ付き合ってやらんこともない…)

今日1日だけでも付き合ってやったら満足するだろう。屈辱的な姿ではあるが、もう諦めが勝ってきた。アザゼルであればセクハラの猛攻があるだろうがルシファーならばまだ良識はあると信じたい。

「…昼はカレーを所望します。」

「あんなもののどこが美味しいのかねえ……ま、何を食おうが俺様がいるならなんでも旨くなるわな!」

「はいはい。」

今の体制ももはや開き直ったもの勝ち、ロクなダメージも与えられないなら無駄な体力を消耗するよりこの便利なタクシーの行き先に気を張ったほうがいい。
都会に出れば、人が増える分なりを潜めていた悪魔使いとすれ違うこともある。いつもなら仲間がいるな、程度で歯牙にもかけないが、今日は勝手が違った。魔界のカリスマにより悪魔たちが集まってくるのだ。なれた様子な彼を見ていたら、やはり彼はアイドルの素質を持つのだろう、間近でその事実を思い知らされた。

「なんだよ、俺様に構って貰えなかったから嫉妬してるのか?」

「違う。貴方の調子の乗り方が鬱陶しいなと思っていただけです。」

「可愛いなーベルゼブブちゃんは。」

顎に手を添え細い輪郭をなぞる指に肌が粟立った。いつの間にか大通りからの死角。そこに男女二人きり、となると顔が青ざめた。

「緊張か?俺様に任せていれば万事オッケーだぞ!」

「何が大丈夫なものか!血迷うなよ!私は男だ、一時的に女の姿をしているにすぎないッ!」

「んー俺様の魅力は全世界の老若男女共通だからな……俺様も俺様という存在が怖いぜ……」

ダメだ、会話のドッチボールしか出来ていない。だが貞操がかかっているとなれば抵抗の手を休めるわけにはいかない。
反射で張り手を繰り出すが簡単に受け止められてしまい、顔が近くなり。

(っテッメェェェェェエエエエエ!!)

食らいつくように奪われた唇。口内に蠢く蛇に舌を絡め取られ、どんどん濃厚なものとなっていく。胸を押し返すが指を絡め取られ状況は悪化の一途を辿る。

「どうだ?酔いしれただろ、惚れ直しただろ?」

「ふ、ふざけるなッ!!」

もっと文句を言ってやりたかったのは山々だが、いかんせん舌が回らず思考も固まってしまっていた。
先程の緊張はなんだったのだろうか。いつものルシファーのような傲慢で自尊心の高い顔ではなく、慈しむかのような顔が見えた瞬間に動けなくなってしまった。いや、まさか、そんなはずはない、思い浮かんだ感情を必死に否定してみるが、そんな自分が滑稽に思えてきた。

+END

++++
『女体べーやん(後天的でも)・さくちゃんと買い物→魔界ver.ルシファーにばったり出会う→強引デート突入』というネタをいただきましたが…デート?(・ω・)にょた?(´・ω・)
…すみませんこれが限界のようです………削りに削った結果がこれだよ!

削ったヤツからもまたなんか書けそうだったのでリサイクルします。
ネタありがとうございます!

11.8.13
修正:11.10.16

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