*悪魔だから
※♀化
知らなかった。いつも女好きなアザゼルと仲良くしていたからだろうか。それとも服装からの自分の先入観だろうか。まあ別に自分がそんなことを気にするタイプではない、ただ驚いただけなのだ。急に突きつけられたら事実に。
ペンギンの姿の時には似つかわしいサラサラながら癖のように跳ねる髪に、赤く色づいた唇。胸や尻が特別でているわけではない、だが腰のおかげで見事なプロポーションとなっている体。
「ベルゼブブさんって…女性だったのですか…」
金髪、王冠、眠そうな目、いつも通りに燕尾服を着こなす人物は、性別や姿がいつもと違っていても誰だかわかる。蠅の王ベルゼブブ優ー、その人だ。
「勝手に性に先入観もたれるのは不快極まる。」
「いや、そうですけど……優一というからてっきり男の人かと……」
「その単純思考回路が失礼なのだ。」
胸は目立たない。縛っているのか発育が遅いのか、まぁ本人が気にしている様子はないうちは触れないほうがいい話題であることは確か。
「アザゼルさんは知って…ますよね。」
「無論。穢らわしい腐った手で、馴れ馴れしく触れようものなら細切れにしてやるがね。」
悪魔の笑みを浮かべてケタケタ笑うところを見ても、やはり彼女は自分の知っているベルゼブブだと納得させられる。
(ペンギンの時とは違う可愛さがあるなあ…)
美人、というのが正しい反応であろう。だがなんだか眠そうな目より幼さと可愛らしさがうまれたのも事実。
(新鮮だなあ、悪魔も見た目は私たちと似ているもんなんだね)
勿論腹の内は比べ物にならないほどどす黒くえげつないはずだが、その美しい容姿に流されてしまいそうになった。さすがは悪魔、人間をたぶらかすことに対し抜け目がない。美しい容姿をしていればそれだけ人間は油断する、エリート、貴族は納得の肩書きだ。
「なんですか、じろじろと見て。気持ち悪い。」
「いえいえ、気にしないてください、てか気持ち悪くないです。」
(同性の私すら惹かれてしまったなんて)
言えない
++++
(これが初小説になりかけたなど)言えない
11.7.5
修正:11.10.14
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