*ニ酔い
「お前、案外酒に弱いのな。」
何本目になるだろう、数えるのも億劫になった空ビンが宙を舞う。
「仕方ないでしょう……貴方と違って繊細なのですよ…」
昨日の晩から飲みやがって、ザルが。一人ごちても彼が反省することもその目障りな手が止まるわけでもない。
「夜は可愛かったのに…」
「うるさい。情事中に無理矢理酒を飲ませるのは止めろっつってんだろ!!」
叫ぶ、響く、布団に沈む。何をしようが悪循環。もう何もしないが吉だ。
「ん?もう酒がねえな。」
「…よかったじゃないですか…」
「あ、ここにあるか。」
ザラリとした感触が頬を這う。震える身など気にすることなく顔を固定し、肌を味わう。
「何をボケているのです!」
「いいんだよ。酒は酔うのが楽しみなんだ。」
何もしないが吉。
++++
吐いた次の日に酒を買ってくる自分に脱帽。
弱いだけで酔わないのです
12.3.4
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