*苦い
※『甘い』の続編
※べーやんにょた
「テメエか。優にちょっかいかけやがったバカの一人は。」
壁にまで追い詰められた悪魔は、竦み上がり声すら発さない。芥辺の苛立ちは、壁に向けて放たれた。
「誰の許可を得て、アイツに触れやがった。アァン?」
「だ、だってべーやん無防備やねんから!!襲いたなるやろ!」
「まず、その呼び方だよ。馴れ馴れしいぞテメエ。」
見た目は厳つい癖に、肝の小さい悪魔だ。芥辺の気迫に完全に萎縮してしまい、顔が引きつってしまっている。また、その弱気な態度が彼の神経を逆なでし、舌打ちが漏れた。その舌打ちにまた萎縮し…嫌な無限ループである。
「その言葉。そのままお前に返すがな。」
イヤミがたっぷり籠もった男の声に、芥辺は素早く反応した。
芥辺に怯むことなく、相手を嘲笑うような口元に、尊大な態度。芥辺も知っているらしい。顔を見た瞬間に殺気が強まった。
「お前は優のなんなんだ?いつも偉そうにしやがって、優のナイト気取りもいい加減にしろよ。」
「そ、そうやそうや!」
後ろ盾を手に入れたことで、生き生きする悪魔にはほとほと呆れたものだ。しかし、今の芥辺には関係ない。見えるものはルシファーただ一人。
「テメエ…」
「図星つかれて逆ギレか?とんだ不良ナイトだな、お前。」
「次は一体、何の騒ぎです?」
今にも魔界を破壊しながら掴みかかろうとした時、優が現れたことに場の空気は和らいだ。
しかし険悪なのは変わらない。逆に、相手に対する警戒度は上がっていく。
「優、」
「優。こっちにこい。」
いうが早いか、ルシファーなどに目をくれず、芥辺の背へと走り寄るベルゼブブ。
ルシファーの表情が歪んだ。
「優!何でそんなヤツの元へいく!俺様の方が男前だろ?付き合いだって長い!何でそんないきなり沸いて出たヤツを選ぶ!」
『私は、アクタベ氏のことが…』
思い出されるのはあの言葉。しかし、自分は。
(優の、何なんだ?)
ベルゼブブは義理の妹のはずだ。わからない。
(優の、何になりたい?)
ふと、優の青い目と合った。顔は対称的に、赤いまま。
++++
自覚しかけて…まだ出来ない
初々しいアクベルだ…長編にも出来るかな…
ネタありがとうございます!
12.2.9
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