*失いたくない
※7巻後
最近、彼の様子がおかしい。
季節も落ち着いているから体調が悪いわけではなさそうだが、喚べば来てくれるが渋るし、アザゼルが挑発しても弱々しく流すだけ。全く張り合いがない、とアザゼルも落ち込む程だ。
「…最近ベルゼブブさんの元気がありませんね。心あたりありませんか?」
「全くないわ。どないしたんやろ………」
二人のひそひそ声も聞き流し、遠い目で何かを見つめているだけ。時折溜め息も混じり何かを思い悩んでいるようだ。
「私、カレーまん買ってきます。変に刺激しちゃダメですよ。」
「わかったわかった、イブニング忘れたらいかんよ。」
佐隈の適当な相槌には期待出来ないが、それよりも友人だ。ついにはコテン、とソファーへと倒れ込んでしまった。かなり重症である。なにがあったかはわからないが相当応えている。
(べーやんは感情隠すのがうまいのになぁ…)
「べーやん、どないしたん?」
「アザゼル君…」
「聞きのプロのワシが話聞いたるよ。なんでも言ってみい。」
「何をバカなことを…」
悪態はつくが元気はない。いつもは強がり口を開かないはずが、小さく開閉を始めた。
「あの変態…本気なのでしょうか。」
「あのチ●コの奴か?」
「彼にしては、盗みなど容易。芥辺探偵のことは、調べればすぐに見つけ出せましょう。」
「アクタベ氏の横暴から逃れられるは結構、しかしかの変態に使役されるのは御免被ります。」
少しずつ明かされる、本音。頷ける理由ではあるが、いまいち決定力には欠ける。
「要するに、ここから離れたくないんか。」
「そう、とも、いわなくは、ありません。」
(この事務所、思った以上に居心地がいいようです)
失いたくないものは、失ってからよく気づくもの。
++++
(ご自由にご想像ください)←べーやん
♀でもいいね、セクハラされてショックで泣き出してさくちゃんにヘルプメールしてそう(^p^)
11.11.26
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