ゆぎお | ナノ



壊れ歪み崩れる想い


※鬼畜
※ゆまアス、ゆま←ベク、96→アス前提
ゆま96、ベクアス
※微裏(ヤってはいますが表現がゆるいので鍵は開けております。いずれ閉めるやも。)



ベクターはほくそ笑んだ。赤黒い空に照らされ不気味な闇の霧に沈んだ玉座に座る、眠り姫を眺めながら。

「気持ちよさそうに眠ってるなぁ……」

眠り姫・アストラルの頬に指を這わせると、睫が揺れた気がした。優しく頬を撫でていたが、徐々にベクターの指と額に筋が浮かんでいく。痙攣し始めた手に籠もるものは、最早"怒り"と"憎悪"だけだった。

「なんで俺様じゃなくて、遊馬はお前を選んだんだ…えぇ!?アストラルぅ!!」

遊馬は俺の物だ。誰にも渡さない。
アストラルには、絶対に渡さない。


ベクターは、遊馬に心惹かれていた。
遊馬は事あるごとに「アストラル」の話をする。アストラルも遊馬の傍を離れない。明らかな愛情が存在する2人の関係が悔しかった。疑うことを知らない真っ直ぐな心に、優しさに心が揺らぎ敵意が恋心に変わった真月には、ベクターには耐えられなかった。
憎き敵、アストラル。
ライバルなんかいらない。障害は全て排除する。そこで協力関係となったのが、No.96だった。
No.96はアストラルがお気に入りらしい。持ちかけられた交換条件はこうだ。

『アストラルをお前に貸してやるから、お気に入りの遊馬と交換をしないか?』

歪んだ愛情を持っているのはお互い様だ。しかしこの話を持ち出された時、ベクターは眉を寄せた。
別にベクターはアストラルをどうこうしたい訳ではない。言えば消してやりたいくらいだ。それに遊馬が他の奴に取られる状況も芳しくない。何故そのような条件をのまなければいけないのか?

『下僕であるお前に拒否権はない。』

しかし形式上"下僕"という体系をとっている今、ベクターには拒否権はない。嫌悪感で顔をしかめるベクターの心中を読んでいるのか、No.96は紫の唇を弧に歪めた。

『アストラルは"壊れて"も構わないさ。壊れたら壊れたで、調教してやる。』

その言葉にベクターは狂ったように笑った。
これでアストラルを"処分"できる、と。

遊馬を罠にはめて皇の鍵を無理矢理奪った。本当は遊馬の方へ行きたかった、上機嫌に気を失った遊馬へ馬乗りになるNo.96を蹴飛ばしてやりたかった。
しかし、それでは今後の本命の作戦に支障が出る。ここはおとなしく従っておくしかない。鍵を紐ごと乱暴に振り回しながら、玉座の部屋に向かい冒頭に至る。



『ん…』

小さな呻き声が聞こえてアストラルの睫が震える。この時を待っていたような、いなかったような。複雑な気持ちがベクターに舌打ちをさせる。

「お目覚めかい?お姫様。」

『ここは…っ!ベクター!!』

体を勢いよく起こせば、四肢に巻きついた玉座のコードが軋み締め付ける。痛みに眉を寄せるアストラルにベクターはほくそ笑んだ。

「忘れたとは言わせないぜ。お前たちは罠にハマったんだよ。」

『たち…?遊馬は、遊馬はどこだ!?』

アストラルの必死な形相がベクターの神経を逆なでする。青筋を浮かべながらアストラルの顎を掴むと、乱暴に頬を向き合わせようとする。

「お前はいつでもどこでも『遊馬遊馬遊馬』…。そんなに遊馬君の事が好きかぁ?」

『遊馬は私の大切な人だ!パートナーだ!』

「ふーん?私"の"大切な、ねぇ……」

絶対の自信がベクターの神経を逆なでしてかきむしる。

「じゃあ遊馬はお前の事、なんとも思ってないわけだ。」

『そんなわけはない!遊馬もっ』

その言葉を遮るように、玉座からコードが伸びてアストラルの剥き出しの白い太ももを締め上げた。苦痛に顔を歪めるアストラル。ベクターは反応に気をよくしてクツクツと笑い出す。

「お前が遊馬の事をどう思っていても、関係ない。遊馬はお前をなんとも思ってないぜ。」

『違うっ!遊馬は、私を"好き"だと言ってくれた!!』

アストラルの口から出た、遊馬の衝撃的な言葉。真実かはわからない、がベクターは怒りに顔を歪め青筋が浮かび上がる。
一時は遊馬は真月の言葉を信じて、選んでくれた。しかしそれも全て"アストラルの為"だったと改めて思い知らされた。

憎い、憎い、憎い、アストラルという存在全てが。

怒りの頂点を超えたベクターが、冷めた目でアストラルを向き直る。感情のない目で見下ろすと、乱暴に髪を掴み鷹揚なく囁いた。

「本当に遊馬がお前のことを大切に思っているのなら、必ず助けにきてくれるだろ?」

指を鳴らすと同時に、玉座からコードが伸び動き腕すらも拘束する。完全に自由を奪われ悶えるアストラルだが、ベクターは相変わらず冷めた目で見つめ返すだけ。

「たっぷりと可愛がってやるよ…壊れるまでな……」

ベクターが指を鳴らすと腕を拘束する力が強まり、肌に食い込む力にアストラルは呻き眉を寄せる。しかしベクターは構わずに再び指を鳴らす。すると玉座からコードが伸びてアストラルの足首を吊し上げる。そのままVの字になるように吊り下げると、アストラルから短い悲鳴が上がった。

『いやだ……遊馬っ!遊馬っっ!!』

「ヒャハハハハハハ!愛しの王子様は来てくれるかなぁ!?」

玉座から伸びる機械のコードのような触手の気味の悪さと屈辱的な格好に、アストラルは悲鳴を上げる。
その怯える表情が見たかった。
口を狂喜に歪ませるとアストラルの顎を掴み無理矢理上へと向かせる。

「これからナニをされるかなんて、言うだけ野暮だよなぁ……?」

新たな機械の触手が股を観察するように集結する。そして先端から現れた目に、アストラルは声にならない悲鳴を上げた。
それぞれ瞳孔を互い違いに動かす姿は、不気味以外の何者でもない。まるで子供が初めて見るものに興味を示しているかのように、ヒトの性器の辺りに触れては撫で回す。アストラルには性別がない。故になにもついてはいないが、皮膚の薄いところだ、変な感覚が湧き上がる。

『やめろっ!やめ……っ』

「ンッンー?その割にはヨさそうな声で鳴くじゃねえか。」

『んん…っ』

興奮しているわけではないが、違和感に変な声が出てしまう。そのくぐもった声と耐えるアストラルの表情に興奮したベクターの雄が勃ち上がり始めた事にアストラルは青ざめる。

「んあ?あー…お前がエロいから、俺様元気になっちゃったよぉ〜。」

『下品な奴……っ』

「足を広げて誘う変態なアストラルちゃんには言われたくねぇなぁ?」

『これは貴様が!』

「あーあ、言い訳かよォ。なら腰が動いているのはどう言い訳するんですかー?」

触手たちが待ちきれなくなり擦りついてきたことに、逃げるようにアストラルの腰がクネクネと左右に揺れている。まるでイイところを自ら探しているような動きを指摘され、アストラルは真っ赤になる。

「俺にそのお○んこをペロペロしてください!……ってかぁ!?」

『言うな…っ!』

「物欲しそうな顔してよく言うぜ。」

股を指でつついてやれば、腰が疼いて跳ね上がる。楽しそうに笑うベクターと、群がる触手たち。目は全てアストラルの股関に向けられており、羞恥心が湧き上がる。

(遊馬…っ)

「お前。今遊馬のことを考えたろ。」

鋭いというか目ざといというか、思い込みというか被害妄想というか。ベクターはアストラルを睨みつけては噛みつかんばかりな憎々しい表情で睨みつけてくる。

『な、何をバカな…』

「フン。わかりやすい奴。」

鼻を鳴らして見下した目で一瞥。しかしすぐに悪鬼の笑みに変わる。

「そんなに気になるなら見てみるか?」

テレビのリモコンのような手のひらサイズの機械を触手がベクターに渡すと、ニヤリと笑う。

「一体王子様はナニをしているのかねぇ?」

笑いながらもベクターが指を鳴らせば、不気味な柱から枯れ木のように枝が垂れ、テレビを模した液晶が現れる。機械独特な雑音とともに砂嵐が起きると、光が付き何かが映し出される。
アストラルは目を見開いた。
それは待ち焦がれている相棒の遊馬と、天敵のNo.96ではないか。
しかも2人はベッドの上にいる。No.96が遊馬の上に乗りかかっているようだが、様子がおかしい。

「あーらら。お前の半身と"お楽しみ"みたいだな。」

そう、覗く遊馬の足は素足で下半身には何も身に付けていない。あろうことか遊馬の上に座り込むNo.96の臀部には、遊馬の勃ちあがったペニスが入っているではないか。
荒い興奮した息を吐きながらも腰を上下に揺するNo.96。遊馬は苦い顔はしているものの抵抗か快楽に耐えているのかはわからない。

『「くぅ…、No.96…っ」』

『『はぁ、イイねえ遊馬ぁ…。お前、見た目の割にいいモンもってるじゃねえかぁ……』』

騎乗位になり腰を振るNo.96は、筋肉質ながらも面妖な雰囲気を醸し出す。女性的な仕草に男性的な声。紫の口紅が、一層妖しさを引き立てる。

『『あぁ…っ!やっぱり遊馬は最高だ…っベクターの奴はヤる気がねーし……』』

『「お前…っ」』

『『怖い顔するなよ……アストラルの時みたいに、優しくしてくれよ……』』

『「うるさいっ!」』

最後の砦だとNo.96の甘い声を否定して抵抗の意思を示すが、No.96は予想通りだと笑った。性的に誘う指先が遊馬の首筋を伝い、遊馬は身じろぎをする。足をくねらせながら遊馬の耳元に熱い息を吹きかけた。

『『遊馬……もっと優しく気持ちよくしてくれ……』』

アストラルと同じ声で甘く誘うように囁けば、遊馬の雄も興奮し肥大化する。『やっぱりな』と面妖に笑い再び腰を揺らすNo.96だが、今回は遊馬の腰も積極的に動いている。

『『はぁっ!やっとノリ気になったか……遊馬ちゃん……んんっ』』

『『はぁ…っん…っっ!』』

No.96とアストラルは見た目が違うながら"声"から重ねてしまったようだ。たがが外れたように腰を掴むと、一心不乱に腰を打ちつける遊馬にNo.96は甘い息を弾ませる。

『『遊馬、激しい……っ!』』

『「くぅ、出るっ!」』

『『中に出してもいいぜ…?早漏の遊馬ちゃん?』』

No.96が汗ばみながら面妖に笑ったところでテレビの画面は切られた。
画面を消したベクターは2人の情事で興奮しきった雄を隠そうともせずにニヤニヤと笑っている。アストラルの目は画面に釘付けだった。悲痛に顔を歪めながら開いた口が塞がらない。
余程信じていた相棒と自らの分身とも言えるNo.96の情事がショックだったのだ、目は焦燥感で揺れ体は焦りで震えている。

「くくっ…遊馬君はお前の事を忘れたみたいだな…」

『そんなわけは……わけは…』

信じたくはないが、これ以上は言葉が出なかった。わなわなと恐怖に震えるアストラルを嘲笑いベクターは耳元で囁いた。

「遊馬はお前のことをなんとも思っちゃいない……認めちまえよ…」

『イヤだ、そんな……』

「今は気分がいい。気持ちよくしてやるよ……」

四肢に巻き付く触手たちがうねり、四肢に食い込み皮膚の浅い所で蠢き始める。絶望に沈んだ表情を浮かべるアストラルを見つめながらベクターは声を必死に殺して笑う。

(まだ笑うな。)

完全にアストラルの心を壊すまでは。

++++
4pにしたかったのに……

15.3.8



[ 1202/1295 ]

[] [TOP] []



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -