ゆぎお | ナノ



本当の裏表


※現パロ
※96が女体化
※黒アストラルイメージ


夜、自室で勉学に励むアストの首にミズトの腕が抱きついた。勝手に部屋に入り、じゃれついてくるのは寂しい証。ブラジャーも付けず、胸元のあいたゆるゆるのタンクトップと、下着という準備万端な姿で胸を背中に押し付けてくる。

「ミズト。邪魔しないでくれ。」

ミズトは男性との付き合いは自由奔放だが、アストは一切口を挟みはしない。何故ならば、彼女が必ず戻ってくるのも知っているからだ。
ミズトは、アストが好きなのだ。それも恋愛対象として。
お揃いのペアリングも、イヤリングも買った。キスもしたし、一緒のベッドで目覚める朝も少なくない。しかしミズトの周りに男との噂がちらつくのは何故か。それはこのアストの素っ気ない態度にある。
しかしわかっていながらアストの態度を改めない。振り払うことなくミズトの好きにさせているが、構ってほしいミズトはそんなアストの反応が気に入らず、頬を膨らまして腕に力を込めた。

「…後どのくらいかかるんだ。」

「一時間。」

「……」

見るからに落胆したミズトに、アストは人知れず口角を上げる。腕を腰まで降ろし、必死に身を寄せるが、アストは知らんぷりだ。

「キスしたい。」

「それだけで我慢出来ないだろう。」

「…膝に座りたい。」

「私が動けない。」

悉く提案を跳ね除けるアストに、ミズトはぐずり始めた。それでもアストは振り返らず、楽しそうに教材を見つめるだけ。遂に諦め、ミズトはベッドの上へと身を引く始末。それでもアストは気に止めない。

「…一時間だな?」

「ああ、一時間だ。」

「……それまで寝てる。勝手にオレの部屋で寝るのはナシだからな。」

「わかっている。」

警戒しながらもベッドに横たわるミズトの視線を感じながら、アストは聞こえないようにクスクス笑った。実は今日の分の復習はとっくの昔に終わっている。少し、ミズトをイジメてやりたい衝動に駆られた故の嘘だ。
ミズトは可愛い。
構って欲しくても、素直に口にすることが出来ない。しかし、妨害してまでアストの気を引くことはしない。一度実行した際にアストが不機嫌になり、当分口を聞いてくれなかったのが堪えたのだ。その時は、少々大人気なかったと反省はしている。しかし、しょぼくれながらも顔色を伺ってくるミズトがいつもより愛おしく見え、それからアストはミズトを焦らすようになった。

(眠ったら、構ってやるか)

時計を見ながら、針が動くのを待ちながら時間つぶしをしていると、約束の一時間はすぐにやってきた。後ろから安らかな寝息が聞こえてきたため静かにペンを下ろすと、アストはベッドへと乗り上げた。
いつもは上へ靡く髪は潮らしく下へと垂れて、ベッドに広がっている。浅く呼吸を繰り返すミズトに馬乗りになると、タンクトップを二の腕までずらして横へ垂れる巨乳を取り出した。冷たい外の空気が敏感な素肌に触れ、ミズトは小さく喘いき薄く目を開いた。

「な…に、して……」

「フフ、無防備に寝ているからだ。」

「寝込みを、襲うなんて…お前らしくねえ…」

「お前が誘ったんだろう?」

クスクスと笑いながら、ミズトの胸に手を這わせてゆっくりと揉みしだく。眉を寄せながらも声を漏らし、抵抗を見せないミズトにアストはニンマリ笑った。

「襲われていることに、興奮しているのか?」

「そんなわけ……っ」

「そんなわけ"ある"だろう?お前は胸だけで感じる変態だ。」

耳元で言い聞かせるように囁けば、ミズトは真っ赤になる。首を振って抵抗はするが、アストの面妖で甘い声につい聞き入ってしまう。

「お前は双子である私に興奮する変態だ、そうだろう?」

「お前もオレに興奮してるじゃねーか……っ」

「フフフっ。お前の落ち込んだ表情に興奮したんだ。」

「サディストの変態め…」

「そんな私が好き、なんだろう?」

アストの狡い言い方に、ミズトは顔を歪めた。わかりきった答えを待ちながら、加虐性の強い笑みを浮かべるアスト。逃げられぬよう脇に手をつき、徐々に迫ってくるアストの顔。

「ミズト、どうなんだ…?」

不気味なまでに、楽しそうな笑み。
これが、優等生のアストの、裏の顔。加虐心が強く、歪んだ感情と愛情持つ、裏のアスト。アストと体を重ねるようになるまで知らなかった、他の誰も知らない顔。
アストの事を知っているのは、自分だけ。その事実にミズトは興奮する。

「ん?乳首が固くなったな…。」

興奮がバレたことに、顔が赤く熱くなる。そっぽを向くと軽く摘まれ、小さく悲鳴が上がった。

「オレの気持ちもっ、わかってるくせに…!」

「口で言わないとわからない。」

「野郎…っ!」

「口汚いぞ。」

喉に食い込む爪に、ミズトは苦悶に顔を歪める。その表情に、アストも楽しそうに口角を吊り上げた。まるで傷を残すことで、快楽を得るかのように。

「アスト、やめ…っ!すき、好きだから…っ」

「誰の事を好きなんだ。」

「アストの、お兄ちゃんのこと……」

涙ぐみながらも訴える姿に、アストは満足げに笑い指を退けた。咽せるミズトに構うことなく、無理矢理口付けると満足するまで無防備な口内を蹂躙する。呼吸が出来ずに涙が溢れ、くぐもった唸り声を上げるとやっと許してくれたようだ、唇が離れミズトは咳き込んだ。

「私のことが本当に好きなら、約束は守っているな…?」

虚ろな目で呼吸を整えるミズトの耳元で囁けば、ゆっくりとした動作で首が縦に振られた。

「他の男には…"後ろ"には挿れさせてない…」

「それでいい。」

「なんで尻は自分で開拓したがるんだよ、変態…」

「なんでだろうな。」

はぶらかしながら足を掴むアストに、ミズトはため息をついた。それでも、アストに答えるべく首に抱きつき笑みを浮かべた。

(独占欲は、お互い様)

+END

++++
ただの甘えた96を書くつもりが、どうしてこんなことに。

14.12.10



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