ゆぎお | ナノ



触れ合い


※遊戯…本体、ユウギ…ファラオの魂
※心の部屋が舞台です


最近、遊戯がよく言う言葉がある。

「もう一人の僕、好きだよ…。」

夜、二人っきりの心の部屋。この時間は、人気者のユウギを独り占め出来る時間だ。

とは言っても、ユウギは他の人には見えないから、いつも独り占めしているが、二人っきりの時は奇異の目もなく話せるのが最高の幸せである。

最近遊戯がよく口にする言葉、"好き"。
老若男女が、相手に愛情表現をする時に使用する言葉だ、それくらいはユウギも知っている。

「俺も好きだぜ?相棒。」

ユウギも愛情表現を返すが、気に入らないようだ。遊戯はムッと唇を尖らせ、恨めしそうにユウギを見つめる。

「意味が違うよ…」

「違うのか?これは愛情表現だろう?」

「そう、愛情表現。」

「なら合ってるぜ。」

「違うの!」

ユウギの言っているのは"友"としての好意。しかし、遊戯の好きは"親友"や"憧れ"だけではない。一人の"人間"としてなのだ。
いつも一緒だ、だがそれだけじゃ足りない。心の部屋でしか触れあったり出来ないのが切なく哀しい。ユウギが違う"世界"の存在だと思い知らされて、いつも一歩を踏み出す勇気が出ない。
それでも。

「愛してるよ。」

「え?」

驚いた顔のユウギの肩を掴み、驚き抵抗出来ないのをいいことに柔らかく口付けた。

何をされたか、わかってはいないだろう。目を見開いて揺らめく瞳の紫めいた赤が綺麗だ。薄く唇を開いて唖然としているが、直に聡明な彼は気付くだろう。遊戯の"好き"の意味を。

「相棒…?」

「謝らないよ。」

いつもの無邪気な笑顔を残し、遊戯は自分の部屋へ駆けていってしまった。残されたユウギはしばらく動かず、いや動けずに遊戯の背中をぼんやり見送る。軽い足音が完全に消え、唇を指でなぞったことで我に返ることができた。
遊戯の"こうい"の意味を理解し、赤くなる顔。そのままベットに倒れ込んだ。

「キ、キスされたのか…」

相棒らしい優しいキス。
頭の中が真っ白になっていて詳しくは思い出せないが、ぬくもりは感じることが出来た。
遊戯の"好き"は、愛情表現。
遊戯の"愛情表現"は、一人の人間に向ける愛。
今まで、遊戯をそんな目で見たことなどなかった。相棒で、親友で、最高のライバルになり得る存在で。だが、キスをされてわかったことがある。

「俺も相棒を…」

今ならきっと言える。

「俺も相棒を、"愛してる"。」

+END

++++
片思いほど可愛らしくて、萌えるものはないと信じています

修正14.12.5



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