ゆぎお | ナノ



デュエルずきん

昔昔、ある場所のある森に、二人の双子が住んでいました。二人はデュエルが好きで、デュエル好きんと呼ばれていました。
…嘘ですギャグです。
『遊戯』という名前の二人は、性格は正反対。兄のユウギはつり目で、強気な性格。喧嘩には滅法強いけど、少々天然。弟の遊戯は、温和で優しいのですが、恐怖の爆弾発言が多く恐れられていました。名前はも見た目もそっくりなため、お兄さんのユウギは腕にシルバーをつけていました。それでついたあだ名はシルバー好きん……またウソです。
二人はいつも赤いずきんを被っていて、『赤ずきん』と呼ばれていました。




「もう一人の僕ー。ちょっといいかな?」

「何だ相棒?」

ある日、弟の遊戯が兄のユウギにお使いを頼むことになりました。

「今手が離せなくて、お使い行ってほしいんだけど…ダメだ。外は何があるかわからないし。」

呼んだのはいいのですが、弟は兄の事が大好きで甘やかしすぎです。
でも、このままでは話が進みません。無理矢理にでも外に出てもらいましょう。

「いや俺が行くぜ。相棒は心配性だな。」

ユウギが力強く言えば、遊戯は困った顔で黙ってしまいました。

「じゃあ……お願いしようかな?」

頷いた遊戯に、ユウギも笑顔になります。しっかりと用意をして、兄のユウギは赤いずきんを被り出かけます。

「じゃあこのバスケットの薬を届けてね。もし人が半径10km以内に入ったら逃げるんだよ。会うもの全てに気をつけて。」

なんだか人間不信になりそうな言葉が聞こえましたが、気のせいです。赤ずきんはバスケットを受け取り、とりあえず頷きました。

「向こうについても気をつけて。どこで何が出てくるかわからないよ。」

もう何がなんだかであります。





*

さて森の中を歩き始めた赤ずきん。家が見えなくなって約0.1秒後、聞き覚えのある高笑いが聞こえてきました。

「ユウギ!今日こそ俺とブルーアイズの勝利だ!ワハハハハハ!!」

いきなり厄介な人が狩人が出てきました。ブルーアイズ型のボウガンは狩人のお気に入りで、片時も手放さないのが特徴です。

「今日はお前につきあってる暇はない。相棒からお使いを頼まれてるんだ。」

赤ずきんは毎度挑まれるデュエルにウンザリしていたのと、真面目な性格のため一刀両断です。彼は、負けても負けても懲りずに勝負を挑んできてキリがないのです。

「フゥン。ならば夜でもかまわん。」

「そこの変態っ!ナニ誤解を招くやなこと言ってるのさ!」

どうしたことでしょう。手が離せない筈の遊戯が、狩人に反応して全力で走ってきました。そして勢いのまま膝蹴り一発。倒れた狩人を足場に、赤ずきんの手を引きます。
運動神経が良すぎです。

「お使いはまた明日でいいや。さ、帰ろう。」

彼は物語を終わらせるつもりです。しかしそうはさせません。ネタ切れと勘違いされてしまいます。

「遊戯!そりゃねーだろ!?」

ここで狼登場です。え、着ぐるみの城之内ですか?誰ですかそれ?これは立派な狼さんです。モフモフした毛が特徴的で、犬にそっくりの狼さんです。

「城之内君!」

「まてまて!今は狼だから。な?」

赤ずきんと狼さんは知り合いのようです。怖がることもなく、空気から逃げたさに駆け寄ると狼さんはため息一つ。

「じゃあ狼…君。何故ここに?」

「君?まぁいいや。行くなら早く行こうぜ。このまま話が終わったら、短編以下だぜ。」

そうです。メタ発言はともかく、問題はそこです。とにかく困るんです。

「だからって狼にはついて行っちゃダメだよ!」

「遊戯。そこに狼より危険な狩人がいるだろ。」

「そうだね。」

あっさり納得してしまいました。これは酷いですね。

「何を言う遊戯!この物語は人喰い狼を退治する正義は、狩人だろう!」

「大丈夫。君は別次元でもう一人の僕をストーカーの如く虎視眈々を狙う変態だから。」

まさか、誰がこのバトルを想像出来ましたでしょうか。二人の目からバチバチと火花が散っています。何だか嫌な雰囲気になってきました。こうなったら、デュエ、デュエ…

「滅びのバーストストリィィィィム!!」

最早問答無用です。
いきなり聞いたことのある技を叫びながら、狩人は矢を放ちました。当たれば普通に死にます。

「本当のこと言われて逆ギレ!?もういい加減にしてよ!」

避ける遊戯も凄いですが、躊躇いなく心臓に攻撃を仕掛ける狩人もまた凄いです。
戦いの火蓋が切って落とされ、睨み合う二人に赤ずきんは置いてけぼりです。

「もう一人の僕!危ないから下がって!」

「待ってろユウギ!!意地汚い狼などすぐ片付けてやる!!」

この物語を子供に見せたら確実に泣くでしょう。しかしもう完全に話の筋が頭から抜けてしまった二人には、馬の耳に念仏です。馬こと遊馬でも、もう少しまともにしてくれそうです。
取りあえず狩人さん、『ユウギ』と呼ぶのはやめてください。

「おし赤ずきん。今のうちに行け。」

「ありがとう!じょ…狼君!」

そうです。この物語は赤ずきんちゃんなんです。誰が何と言おうと子供が首を傾げようともデュエルが始まろうとも、童話なのです。
いがみ合う二人を背に、赤ずきんは駆け出しました。


*


コンコン


「お邪魔するぜ?」

赤ずきんはあれから数分歩いて小さな山小屋にたどり着きました。お婆さんの家は、ノックしても返事はありません。控え目に扉を開けると、鍵はかかっておらずベッドが膨らんでいます。

「具合が悪いのか?でも、何でこんなにいつもより背が高いんだ?それに金髪だし。」

「それは俺が……キングだからだ!」

ガバッと現れたのは、金髪長身ことジャック、と呼ばれる狼。しかし"ジャック""狼"と呼ばれても返事はしないで、"キング"と呼ばれた時だけ返事をする変人なのです。
狼は赤ずきんを食べるため、ベッドに近づいたところで引きずり込み、上に覆い被さります。

「む。遊星が帰ってきたのではないのか…まぁいいだろう。」

大変!このままでは赤ずきんが食べられちゃう!
危機感を感じた赤ずきんは、外を指差し声を上げました。

「あ、遊星!」

「何!?」

遊星という名前を聞くと、狼は過敏に反応しました。入り口に目がいってる間に、赤ずきんが逃げようとすると、窓から何かが飛び込んできました。
狩人です。

「アルティメットバァァァァァスト!!」

叫びながら今度は矢を三発放つ狩人。矢は当たらず、狼の揉み上げを掠めていきました。
「くっ貴様!俺の髪に傷を負わせるとは…」

「何事ですか?」

狩人と狼が喧嘩を始めたら、お婆さんが帰ってきました。寝てなきゃいけない筈なのに歩き回るとは、元気なお婆さんですよね。

「おお、遊星ではないか!」

「ジャック…またお前か。」

呆れた様に言うと、狩人に驚き尻餅をついた赤ずきんを助け起こします。

「ついに、ユウギさんに手を出そうとするとは……」

「赤ずきんだぜ。」

「違う!これは遊びだ。」

「遊びだと!?この糞金髪め!恥を知れ!!」

「…遊星。相棒からだぜ。」

狼と狩人が再び喧嘩を始めたところで、赤ずきんはお婆さんにバスケットを手渡しました。ハンカチを取ると、中に小さなビンが一つだけ。

「これは…」

小さなビンには、ラベルがありました。


―鎮静剤。


「ジャック。」

「変なマント着おって!そこから趣味の悪さが伝わってくるな。フハハハハハ!」

「フゥン。その下品な笑い、貴様に相応しいな。」

「どっちもどっちだぜ。」


赤ずきんは正しいツッコミをしますが、二人には全く聞こえていません。遊星の呼び声も聞こえていません。

「ジャック。」

「おぉ遊星!どうした!?」

無言で牛乳をつきだすお婆さんに、狼は素直に受けとりました。疑いもせずに一気に飲み干した瞬間、狼は倒されました。
グッタリした狼を慣れた様子で家の外まで引きずると、壊れた窓の掃除を始めるお婆さん。赤ずきんは置いてけぼりです。

「遊、お婆さん…あれは…」

「ジャックは騒いでないとダメな生き物なので、鎮静剤で黙らせました。遊戯さんが定期的に薬をくれるんです。」

「流石は相棒…」

その薬の出所は問わない方が幸せでしょう。

「…またお客さんが増えたようですね。」

「大丈夫もう一人の僕!?」

外が騒がしいと思ったら、噂の相棒がやってきました。扉を遠慮なくバンと開け、赤ずきんに抱きつきました。

「狼に食べられてない!?狩人に何もされてない!?」

「相棒。用事はいいのか?」

「大丈夫。全く問題ないよ!物語の都合上―――」

「遊戯さん。それ以上は危険だ。」

かなりメタ発言をされましたが、気にしないことにしましょう。
丁度狼を権力という力で追い出した狩人は、遊戯に気がつきました。これは最後の戦いの予感がします。


「遊戯。やはり貴様とは決着をつけなければいけないようだな。」

「望むところだよ。狩人モドキ君。」

二人はとことん仲買悪いのでした。「喧嘩なら表でどうぞ。」というお婆さんの冷静な言葉に従い、二人は火花を散らしながら出ていってしまいました。

「ユウギさん、何か飲みます?」

「遊星と同じでいいぜ。」

数時間に渡る白熱デュエルの間、二人はのんびりティータイムを楽しみました。
ちなみに、赤ずきんの弟の尻拭いは狼君がやってくれました。
今日も森は平和です。

めでたしめでたし。

+END

++++
■キャスト■
赤ずきん:闇遊戯
赤ずきんの弟:表遊戯
狼(着ぐるみ):城之内
狼(金髪):キング
狩人:海馬
お婆さん:遊星


当初はお婆さんサイドに十代orバクラ、狩人に獏良を考えてましたが自重しました。
昔捧げた文です。こんなひどいものを捧げていたとは…。




↓小ネタモドキ↓


※意味がわかりません※

むか〜し昔、あるところに赤ずきんと呼ばれる少女と少年がおりました
少年は森へ変態狩りに、少女は川へ運命の選択へ

「はいストップ。色々混ざってるから。」

「俺は少女じゃないぜ!それに選択ってなんのだ!?」

この前、川へ行った際にカードを落とすと、星屑龍と赤悪魔龍を持って現れたキング様にデュエルを挑まれてしまいました。
今日、デュエリストキングを決める運命の戦いが始まるのです。

「まさに超☆展☆開!」

「綺麗にスルーされたぜ!」

さぁどうなる!?向後期待!!

「やらないよ!!」

++++
なぁにこれ。

修正10.2.1
修正14.11.23

[ 1250/1295 ]

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