ゆぎお | ナノ



明日なんてこなければいいのに

※エクシーズ次元以降


「ユートはこの戦いが終わったらどうするんだ?」

唐突に声をかけた事に、ユートは大きな透き通った瞳を更に丸くして遊矢を見下ろした。
遊矢はアカデミアのある孤島を見つめながら、潮風に髪をなびかせている。曇り空の下でも、迷いなく進むクルーザーにはそれぞれの決意を秘めた真剣な表情たちがある。

『急にどうしたんだ』
「気になっちゃってさ。やっぱりエクシーズ次元に帰るの?」

文字通りに一心同体になっているのに「ユートはどうするの?」なんて変な話かもしれない。
全てが終わったら元通りになるなんて、自分たちにもわからない。
それでも1つの存在になったからと言って、ユートが消えた訳ではない。遊矢にとってユートはここに存在しており、彼にも彼の未来がある、だから聞いてみたくなった。それだけだった。
アカデミアに負ける気はしない。仲間たちがいるし、何よりも遊矢が成長をして強くなった、共に歩むユートもいる。
空は雲を厚くして淀んでいるが、目の前には希望の光がしっかりと見える。
はずだった。

『そうだな。復興をしないといけないからな』
「俺も手伝いにいくよ」
『その時には、次元の移動が出来るかはわからないぞ』

わかっている、わかってはいる。だが改めて言われて胸が痛む。
ユートは別次元の人間だ。一緒に居た時間は短くても、それを忘れてしまうほど当たり前の存在になっていた。
それぞれの道を歩むのは必然だ。それでも離れたくない。矛盾した心が音を立てて胸を締め付ける。

「そ、そう、か」
『あまり、他の次元は干渉し合わない方がいいのかもしれない。またこんな事件が起きないようにも』

次元同士の交流が初めて行われたのは、アカデミアがきっかけだ。
プロフェッサーのしたことは許されることではない。それでも、彼と出会えたことはおかげと言ってもいい。
別れはいつか必ずやってくる。それでも、その別れが怖い。ユートの顔が、声がなくなるなんて戦争の勝敗よりも想像が出来ずに恐ろしいことだ。
初めて、進むのが怖くなった。

++++
ツイッターお題
あなたは『明日が怖くなくなった』ゆやユトのことを妄想してみてください。

片思い

16.10.26


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