竜の姫
※半竜半人の竜コノン設定
※先天的にょた
※個人的に描いてた漫画が元です、楽しいのは自分だけです
※今回はアソコを切ってない
鬱蒼と茂る森の中にひっそりとそびえ立つ古た高い塔があった。誰も近付かない塔の扉は厳重に閉められ、誰も入ることは出来なかった。いつしかそこは、誰も近寄らず忘れ去られてしまった。
いつからだろうか。その塔を見つけたのは。興味本位で遊びに行っていると、見つけてしまった。てっぺんの窓から、憂いを帯びた目で空を見つめる少女の姿を。
「君は何をしているの?」
声をかけると、見開かれた目。下から話しかけてくる人間は予想外だったらしい。ナムダの顔を凝視すると、音を立てて窓を閉めてしまった。
どうしようかとしばらく考え、ふと塔の鍵が乱暴に壊されているのを見つけた。その行動はただの興味本位だった。
長い螺旋階段を上がり、9階とかかれた上に扉を見つけた。まるで宝物を守るようかのような頑丈な鉄の扉は、凹んでいる。誰かが体当たりで開けようとしたのだろうか。鍵は勿論無残なまでに破壊されている。
怖いもの見たさは誰にでもあるものだ。
躊躇いながらも扉を開くと、六畳ほどのスペースにベッドという簡易な部屋。窓も小さく、生活感も薄い。全体的に薄暗いのが雰囲気を出している。
ベッドの上で何かが動いた。
「誰だ!!」
挨拶代わりに飛んできたのは、古びた蔵書。顔面に当たった本と埃に咳き込みながら、ナムダは相手をまじまじと見つめようとした。が、いきなり空気の塊に押されたような感覚がして、階段まで押し戻されてしまった。尻餅をつかなければ、危うく階段から落とされていただろう。
「お前は下にいた…」
少女が気づき、目を見開くとすぐに目を鋭く光らせる。わかりやすい威嚇だが、ナムダは相当神経が図太い。その程度で引くわけはない。
「初めましてお嬢さん。私はナムダ。」
立ち上がり服の汚れを落としながら、再び部屋の入り口まで進もうとしたが、二冊目の蔵書が飛んできた。予想はしていたため、手で顔を守ると、得意の笑顔で彼女へと向き合う。
「こんなところで、一人で何を?」
「お嬢さん…?」
何か悪い事を言っただろうか。見る見る空気が張り詰め、相手の眉間にもしわが寄る。そこでまじまじと彼女の姿を見て、ナムダは目を見開いた。
女、いや人間には生えているはずのない竜の尾に、ナムダは目を見張る。悪戯に接着剤でくっつけたわけではない。明らかに意思を持って動く尾は、器用に新しい蔵書を掴んで手元まで導いている。
「こんな身体、"女"と呼べるわけないでしょ。ボクは化け物さ。」
ハッ、と自虐的に吐き出された言葉に、ナムダは無表情になる。
「可愛い女の子だと思って犯しに来たの?でもボクの姿を見たら何をスる気にもならないだろ!?あざ笑いにきたなら帰れよ!!」
ヒステリックに叫ばれ、体を覆えるくらいの竜の翼が威嚇するように広がった。本体はどこにでもいそうな中肉中背の女性であるが、竜となれば威圧感がある。
しかしナムダは臆した様子もなく呟いた。
「落ち着いて。君は"化け物"じゃないよ?」
話を聞いていなかったのだろうか。当たり前だろう、というように言われた言葉にコノンは黙っていなかった。
「どこが"人間"だっていうんだ!!こんな化け物の羽、尻尾!!欲情すらしないだろ!」
怒りに任せて吐き出される言葉の雨を避けながら、ナムダは真っ直ぐにコノンへと近づき、ひっかかれる前に正面から体を抱きしめた。
「君は"人間"だ。そして"女性"だ。」
尻尾の付け根を空いた手でなぞられ、コノンの肌が泡立つ。そのまま臀部を撫でられて甲高い声が上がってしまった。
「ぃひゃぁっ!!」
「ほら、可愛い声。」
「っっ!この変態野郎っ!!」
一閃した鋭い異形の爪は、ナムダの腕をかすりはしたものの致命傷を与えることはなかった。血はにじんでいるのに、彼の笑顔は張り付いたままだ。
「化け物は人間の雄に対して『変態』なんて表現はしないよ。」
「気持ち悪いっ!!近づくな!!」
「自称化け物の君に『気持ち悪い』なんて言われた私は、本物の化け物なのかな。」
人事のようにクスクス笑うナムダに、恐怖を感じた。なにか狂気、いや諦めに似たものを感じる。彼になにかとんでもない秘密があるのだろうか。
罵詈雑言も気にすることなく、再び近づいてきたナムダに、彼女は後ずさり尻餅をついてしまった。
「君は化け物じゃない。ちゃんと心を持って、力が制御出来るじゃないか。」
年下のはずなのに、大人びた手が髪を梳く。角を触り「綺麗」と、羽を見て「羨ましい」と、尻尾を見て「可愛い」とまで言う。何故かはわからない。きっとこの体になってから溜まっていた『灰汁』のせいだ。涙を必死に耐えながらも、感情に任せてナムダに抱きついた。
***
「落ち着いた?」
「…フン。」
何分経っただろう。いや何時間単位なのかもしれない。すっかり泣きはらした目を隠すように、膝を抱えた彼女にナムダは苦笑した。嬉しそうに動く尾を見れば、少しは心を開いてくれたのだろうか。頭を撫でると心地良さそうに尾が震えた。
「改めて名前、聞いてもいいかな?」
「…コノン。」
「コノンさんか。よろしくね。」
何も言わずナムダの顔を見つめてくるコノンに、笑顔で首を傾げるとすぐ顔を背けられた。微かに頬も赤い。照れているのだろう。
「なんでこんなところに一人でいるのかな?」
「別にいいだろ…」
「ふぅん。それよりお腹は空いてませんか?」
「自分で取りに行く。」
「そう。」
「…他に何か用?」
「何にもないならいいんです。じゃあ私はこれで。」
最後に頭を撫でて立ち上がれば、尻尾が足を掴んだ。
「ナンパだけして放置するなんて、女の子に失礼だよ。」
少し見えた目は、やはり真っ赤で。再び浮かんでいる涙は先程の余韻か。鋭い目も今は垂れ下がり、ナムダを捕らえている。
「私はダメ。」
「理由は?」
目は鋭くなりナムダを捕らえたと思ったら、上にのしかかる体。人間をとって食らうかのような細い瞳孔に、コノンの獣が見えた。
「私の力は魂を食らう力。特に大切な人の魂を食らう。だから私はダメなんです。」
「言っている意味がわからない。」
「私と親しい人を殺してしまうんです。」
「はっ!そんなバカな話、誰が信じる?」
「信じようが信じまいが事実。だからもう私は帰りますね。」
きれいに微笑むと、塔の窓に手をかける。目で追い、寂しそうな顔をするコノンだったが、すぐに目の色が変わった。獲物を狙う竜の、底知れぬ威圧の籠もった瞳が細くなる。
「まどろっこしいな!!」
窓の桟にかけられた手を、体を引き戻すようにナムダの腰へと巻きつく尾は予想以上の力を秘めていて、抗う術はなかった。窓から床へ尻餅をつき走る痛み。腰をさするナムダに、容赦なくコノンが馬鹿力で覆い被さった。
「ボクをその気にさせたんだ。放っておくなんて失礼じゃない!?」
「だから、君の命が危ないんだって―――」
「だからボクはそんな妄言は信じない。君が逃げたいがための言い訳だろ!!」
つり上がった目がナムダを真っ直ぐ射抜く。どうやらコノンは人の話の聞かないタイプであるらしい。自分がすべて、自分が一番正しいと我を押し通そうとするところにため息をついた。
「ね。いいだろう…?」
脅してきたと思えば、甘い響きの声に上目遣い。女としての本能が、男を誘惑する方法を熟知しているようだ。コノンは意地になり引きそうではない。こうなれば、ナムダが折れるか、多少乱暴にしても無理矢理逃げるかのどちらかである。
ナムダは気を決してため息をついた。
「君は、私の事をどう思っているの?」
「は?まだ四の五の言うワケ!?」
「私の事が好きなの?」
「どうだっていいだろ!絶好のチャンスなんだ!!」
『絶好のチャンス』とは不思議な事を言う。確かにここは外から隔離された塔の上。もしかしてこの半竜の子の餌として確保されてしまったのかもしれない。ナムダの頬に冷や汗が流れた。
「…いや、私は食べてもおいしくないから、うん。」
「こうなったらボクが食べるしかないじゃないか!」
「話し合いましょう。わかるはずだから。」
「…何の話?」
腰を抜かして後ずさるナムダを四つん這いで攻め寄るコノン。壁まで追い詰めると、膝の上に座り妖しく舌なめずり。
「おとなしくしてたら痛い目は見ないよ…。」
ナムダが自分の考えていることが勘違いだと気づいた時には、別の意味で青ざめた。発情しているらしい、目の前の獣のような女性に圧されているこの状況。コノンは既に自らの上着手をかけ、前を開いている。小ぶりな胸の谷間がチラリと見え、劣情を煽られる。じゃなくて。
「いや、だから、私はこういうつもりじゃなくて、」
「…まだ何か言うことが…?」
地を這うような音色にナムダは閉口した。機嫌の波のふれ幅が大きいコノンに、は内心ため息をついた。ここは素直に言うことを聞いていたほうがいいようだ。
「貴女が悲しんでいる姿を見てられなかったというか…」
「ホラ。それが口説いてるって言うんだ。無自覚タラシ。」
ついにはズボンを取り払い、下着まで脱ぎ捨て白い下半身を晒すコノン。上着が長いため、見えそうで見えないところがまたそそられる。じゃなくて。
「私、彼女がいるので、」
「うるさいな!バレなきゃ大丈夫さ。男の浮気は甲斐性だろ!」
「いやそれは女性としてどうかと…」
混乱してるナムダの手を取り、頭上で拘束するとナムダのベルトも乱暴に引き抜いた。
「ボクは自由になりたいんだ…っ」
「自由?」
「君が知ることじゃない!」
勢いよく下着を下ろすと、少し反応を示す一物が現れた。途端に硬直するコノンの体。戸惑いがちにナムダのモノに触れ、すぐに手を離してしまう。
「もしかして、初めて?」
「――ッッ!!」
涙目で睨み付けられ、確信を得た。威勢はよかったが、まだ半立ちの本物を目の当たりにして後込みしているようだ。可愛らしい一面を見て、苦笑が漏れた。
「慣れてないのに、いきなりは痛いだけだよ。作業なら尚更だ。」
「い、痛いの…?」
「気持ちいいだけだと思ってた?」
素直に頷かれ、苦笑い。腹に乗っていた体も少し引き気味である。
「自由になりたいなら、外に出たらいいでしょう?鍵は壊れてましたよ。」
「ボクが壊したの。お腹が空くし。」
丁度のタイミングできゅるると可愛く鳴った腹の虫に、赤くなるコノン。へたり込みナムダのモノを意識すると、過敏に反応するのが面白い。
「お腹が空いた……お風呂も入りたい…」
尾が持ち主の感情を表すようにうなだれて地へ落ちる。お腹をさすり口を尖らせるコノンを見ていたら、なんだか介護欲をかきたてられた。できるだけ体に触れぬよう、ひょいと腋から体を持ち上げ、脇へ下ろすとるとナムダは立ち上がった。
「何かとってきますよ。」
「そのまま逃げない保証は?」
「私は嘘はつかないって評判なんです。」
「胡散臭いな。」
こんな言い方じゃ信用されないのは最もである。また癇癪を起こしそうなコノンを刺激しないように、ナムダは頭に巻いていたバンダナを外した。
「ならこれを預かっていてください。」
「これは人質になるの?」
「結構気に入っている品です。必ず取りにきますよ。」
にっこりと微笑み部屋を後にしようとしたら、再び尾が腰へ絡みついた。
「こんのもの、人質にもなりゃしない。」
「嘘は言ってないですけど。」
「…ボクも行く。ただし森から出るのは許さない。」
億劫だと言うように立ち上がり、ナムダの腕にしがみつく。言いたいことはあるが、必要最低限、刺激をしない程度にしておくことにした。
「何故森から出たくないと?」
「竜人間なんて、見つかったらすぐ見せ物だろ。わからないの?」
「なるほど。」
睨みつけられるのは心外だが、弱々しく握ってくる手に怒る気も失せてしまった。ゆっくりとリードしてやれば一瞬上目遣いが見え、すぐに逸らされてしまった。
不思議な龍の姫との、不思議な出会いのお話。
+END
++++
元に戻れる条件は、女の悦び云々と予定してました
妄想が暴走しすぎました
14.7.7
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[mokuji]
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