それは美しい夜だった。


子どもふたりの逃避行。きっと他の誰も気にも留めていない、今思うとお遊びみたいな逃避行。


それは、美しい夜だった。


人気のない森の中で寝転がり、身を寄せ合って見上げた満天の星空。あの時、世界にたった二人ぼっちのような気がした。


それは、美しい夜だった。

痛々しくてひたむきで、甘ったれた愛し方だったと、今は思う。
でも、あの日抱いた殺意を、一生忘れはしないだろう。

この先自分に、どんな殺意を抱いたとしても。

子ども同士の逃避行。
満天の星空の下、ふたりが共に過ごした最後の夜。おまえが生きていた夜。


それはそれは、美しい夜だった。


ふたりが死にたがりだった夜



ふたりが死にたがりだった夜
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