小説家と木虎
「…………」
「機嫌悪そうだな、木虎」
「気のせいじゃないですか? 別に悪くありません」
「そうか」
「…………」
「…………」
「……今日学校の子に」
「ああ」
「『昨日一緒に歩いてた男の人に渡して』って、手紙を、預かって」
「烏丸か」
「渡すのが当然ですけど……でも……」
「けど、渡したとしても、顔も知らない人間と付き合うかっていう話だよな」
「! や、やっぱり、そう思いますか?」
「ああ。もしくは自分で渡せって突き返すとか」
「確かに……。……ぁ、アドバイス、ありがとうございます。一応お礼は言っておきます」
「アドバイス? ……ああ、うん?」
「別にアドバイスしたつもりはなかったんだが」
「向こうが勝手に話して、それに対する自分の考えを述べたら木虎がいいほうに取ったと」
「それ」
「やっぱりお前は欠陥人間だ」