訳せぬ



「だーかー(ら)お(れ)は!!」
教室のど真ん中で、訳の分からない言葉が発せられている。

同じクラスの彼、早川君とはクラスと部活が同じだ。
そして、中学校からの付き合いである。
付き合いというのは、あのカレカノの方の付き合っているだ。

「分かんねぇよ。
 おい、宮本、訳してくれ」
降参という顔をしている同じバスケ部の、中村君が言った。
私は席から立ち上がって、早川君と中村君の居る所へ歩く。


「おぉー。女子と話してなくていいのか?」

「うん、さっき話終わったばっかりだから」
心配する早川君。
早口であまりよく聴こえないけど、そんな彼の言葉を聞き取れるという特権が
とっても嬉しい。


「あ、でだな。こいつの会話を訳してくれね?
 早口だし、ラ行言えてねぇし……」

「うん、了解」
こんな事を任されるのはよくあった。
そのたんびに、嬉しくなる。


――あぁー! 嬉しい気持ちでいっぱい!!

(おーい、宮本?)
(いつものことだか(ら)気にすんな!!)

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