モデルの一日




「ちょっと、マネージャー。
 遅いんスけど」

「うるさい! マネージャーって私やりたくてやったわけじゃないんだけど!
 無理やりなんだけど!」
そう、私はこの人、黄瀬のマネをやっているんです。
理由ですか? そんなの簡単。幼馴染だからです。
マネって言っても私、高校生ですよ? えぇ。


「まぁ仕方ない。
 涼太の姉さんから頼まれたことだし。
 料理作ってもらっちゃったし」

「食い物で釣れるんすか?」

「うるさいなー。良いじゃん、美味しいんだから。
 オニオングラタンスープ美味しかったよー」

「なっ! 食ったんスか!? だから最近作ってくれないのか……」

「はっはっはー。良いだろ?
 良いだろう?」
ヤベェ、今爽快感ぱねぇ。


「あ、あの。ちょっと良いですか?」
涼太の近くに気が付けば女の子が居た。
ヤバ、これは逃げないと。


「ん? どうしたんスか?」
涼太! そのスマイル、良いんだけど!
人集まっちゃうから!


「そ、の、黄瀬涼太君ですよね?」

「アハハ、そーっすよ?」
普通に答える。
バカか。あ、バカか。


「あの、サインください!
 そして好きです!」
きゃー、この道の真ん中で告白!
なんか罪悪感が……。


「スンマセン! 俺、彼女居るんで」
おい、涼太。何故私の肩を触る。
状況がつかめないぞ、モデルさん。


「え、付き合ってるんですか?」

「そーっすけど? ね?」

「え、いや、付き合ってな……う、はい。
 そうなんです」
私がそう言うと、足にめいいっぱい力をいれて走り出す。
涼太、足早い……クソッ。


「アハハ、彩花ナイスッスね」

「何年幼馴染とマネージャーやってると思ってるの?」

「そーッスよね!」
こうやって、ずーっと一緒に居れれば良いななんて
わがままでしょうか?

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