カノジョ⇔カレシ




バスケ部を辞める。
彼女にそう告げると、なんで!? と、
持っていた雑誌を落としそうになる。

彼女とは、俺の彼女でして、
決して妄想なんかではない。本を読みすぎてイカれた訳でもない。
事実だ。


「なんで? 千尋、バスケ頑張ってたじゃん!
 しかも、よりによって、三年で……洛山ってバスケ強いんでしょ?
 だったら……」
彩花は慌てていた。
まぁ、それもそうだろう。よりによって大事な時期の三年生で辞めるんだ。
というより、こんなに慌てる彩花始めてみたな。


「どうして、辞めちゃうの?
 嫌いになっちゃった?」

「まぁ」
俺はそう言って、読書を始める。
彩花は俺から本を奪い、ねぇ! と言う。


「バスケ嫌になっちゃったの?」

「別に」

「彼氏のくせに、素っ気ないなー」
彼女は彼氏の部分を強調させる。
俺にはこういう時、彼女の機嫌を取り戻せる術など知らなかった。
だから、小説で学んだキスをしてやった。


「……39点」

「低いな」
彼女は点数を告げる。初めてだ。


「こういう時はね、千尋」
彼女はそう言って、俺の横に来る。
そして、耳元で一言。

「俺が全国の舞台に連れてってやるから楽しみにしてろ」
低い声で言う彼女。
俺は背筋がゾッとした。本当、どっちが彼氏なのやら。


「……はぁ」
今日も今日とて、いつも通りの日常であった。


prev next

 

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -