男であれば。




「え? 笠松君って、ギター弾けるの!?」
興奮気味で、彩花が言うと、かさまつはあぁ。と言った。


「そうなの? 実は、私もギター弾けるんだ!
 ねぇ、今度、デュエットしない? ねぇ、しようよ!」

「宮本それは無理だ!!」

「どうしてだ、森山!」
突然、隣の隣の席の森山が立ち上がって、大声をあげた。
笠松君は何も言わないが……。


「こいつはな……女嫌い。
 なんだよ」

「なんだ……と?
 うそーん、じゃあ、趣味の話できないじゃー……いや、
 私が男装をすれば」

「お前バカか。
 男装しなくてもお前は、男だよ」

「いっぺん黙れ、森山」
彩花と森山がギャーギャー騒いでいると、
うるせぇよ、お前ら。と、笠松が言った。


「そ、のよ、宮本……。
 ぎ、ギターのはなははな話ならで、できないこともなくもなくも……」

「? 無理しなくて良いよ、笠松君。
 女の子になれたら、また話そうよ。ね?」
私は無理にでも話そうとは思わなかった。
笠松君がぶっ倒れて、バスケ部が……みたいなことにはなってほしくないからだ。


「す、すすまねぇ」
笠松はそういうと、疲れ果てたかのように
机に突っ伏した。


「……そんなに女の子嫌いなんだ」

「俺は好きだけどな」

「お前に聞いてねーよ」
彩花はキレ気味で言った。




男であれば、きっと、
普通に話せたんだろうなぁ。

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