Step

「彩花、この点数はヤバイでしょ」
「……ですよね」
ピラピラと私のテスト用紙を動かす友人。中間の英語のテストが先ほど返され、私はショックを受けていた。点数は平均点を越えているが、私はそんなのどうでも良かった。だが、90点代にはいきたかった。

「これじゃあ、彼に気、使わせちゃうんじゃないの?」
友人の言葉に反応する。彼とは、隣の隣のクラスの神谷君の事だ。喋ったことは無いが、見るからに外国人だったので英語でこれまで生活してきたのはすぐ分かった。そう、私は彼と会話をするために英語を勉強していたのだ。
「でもでも、告白は、アイラブユーにするよ?」
「普通すぎだな」
友人に辛口なツッコミを入れられた。正直胸が痛い。そんな胸を痛ませる思いをして居ると、追い討ちをかけるかのように奴がやってきた。
「なになに―? 彩花英語わからないわけ―? プクク、だっせー」
隣の隣のまたまた隣の席の成宮が寄ってきたのだ。隣には白河まで居る。おい、90点代の回答用紙を見せるな。
「何でもないよ。分かるし」
「可愛くね―の―」
「うっさい、鳴ちゃん」
鳴ちゃんと言ったら、成宮はすぐに怒った。短気な奴だ。なんて脳内で喋っていると、ガラガラと扉の開く音がした。必然的に私たちはその扉の方を見た。
「鳴―、やま当たったな」
「カルロ―羨ましいだろ?」
カルロ。私はその名前に反応した。友人は、ベタな展開、と隣で呟いた。
「へっへ―、良いだろ? カルロ、羨ましいだろ―」
「数学上だからな―」
数学嫌いだし! と、隣で騒いでいる成宮がいつもよりうるさく感じた。けれど、黙れなんて言葉が出てこなかった。
「んでさ、彩花に今教えているわけ」
「大変だな―、鳴のお守り。宜しくな」
神谷君が私に話しかけてきた。私は、慌てた。頭の中が真っ白だ。なにも浮かんでこない。
「な、ナイストゥーミートゥー」
口が自然に動いた。友人以外の三人は唖然としていた。一番初めに成宮が笑う。その次に白河。だけど神谷君だけは笑わなかった。
「俺、ハーフだけど日本育ちだぜ?」
英語はあんまりな、と丁寧に言ってくれた。私は恥ずかしくなった。とんだ勘違いをしていたのだ。冷や汗が止まらない。
「んまぁ、これから宜しくな。」
ナイストゥーミーチュートゥーと、神谷君は言って笑った。彼は優しい人だ。ますます惚れてしまった瞬間であった。
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