practice

夜の8時半を過ぎた頃、私は食堂を借りて料理をする。といっても、お握りを作っているだけだ。ただただお米を握るだけ。それでも、持っていけば喜んでくれる。やりがいがある。

「こんぐらいかな」
おぼんにおにぎりを乗っけて、私は1人呟く。外に出れば寒かった。ジャージをもう一枚着たいほどだ。そんなことを思いながら、私はいつもの場所にいく。ほら、やっぱり居る。
「白河君、良ければ食べて」
いつも通り私がそういいと、ありがとう、と彼は練習を止めて言う。いつもそう。本当に礼儀正しい人だ。
「宮本は食べない?」
「私はいらないよ。ありがとう」
「……別に」
彼はおにぎりを手に取り、何か言ってから食べる。不味くはない、と彼なりの誉め言葉をいただき、良かった、と私は返す。
「鳴達にはいつもあげてるわけ?」
「え、いや。鳴くんたちはこの時間帯になると、部屋に戻ってるから」
「ふーん」
「あ、寒くない? 身体冷やさないようにね」
「大丈夫、そっちは?」
「大丈夫だよ」
早く帰った方が良いよ、と彼が言うので、白河君が帰ったら私も帰るよ、と返す。彼はその言葉を聞くと、バットを肩から下ろしてバットを入れ物の中に入れて肩から下げる。胸の所で紐を持ってきて、よし、と呟いた。

「自転車は?」
「今日は無い」
「体力作りのついで」
彼はそう言うと、私の手をひいて校門方面まで歩いて行く。彼はいつもこうだ。体力作りのためだとか言ってるけど、私がコンビニに寄りたいと言うと寄ってくれる。本当、彼は面白い人だ。

「ほら、行くよ」
「うん」
通り過ぎる女の子たちにコソコソと噂されている。けど、そんなのを気にしない彼が、なんかカッコよく見えた今日この頃。

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