さよなら、天才どもよ。

カキーンと気持ちのよい音を頼りに、私は、歩いた。以外にも道はスッキリしていて分かりやすかった。野球部グラウンドと思われる所には、人が沢山居た。老若男女関係無くだ。まぁ、今日は休日でもあり、秋大前の練習試合だからな―。でもこんなに人は集まらないだろう。流石名門、と思いながら選手たちが見える場所に座る。ノートと鉛筆。これが私の戦うための武器だ。そう、私はマネージャー謙偵察部なのだ(名前は梅宮君が勝手に考えたもの)
さてさて、エース様の体調はどうなのかな―?
「ねぇ、ここら辺にボールなかった?」
気がつけばフェンスを挟んで真ん前にそのエース様が立っていた。私は辺りを見渡して、横に首をふった。なんだ―、とエース様は口を尖らせた。
「あ、君、偵察に来たの? どこの学校?」
グイグイと来るので、私は鵜久森と一言言った。次の対戦相手! とエース様は私を指差して言ったので、ご名答、と言った。
「あ、そうだ。すっかり忘れてた……」
フェンスごしにエース様は言った。何を? と聞くと、ボール探し、と言う。あぁ、そういえば……、と私は先程の記憶をたどった。もう一度、辺りを見渡してもボールは無かった。早くいかないと雅さんに怒られる―、と焦っているのか焦っていないのか分からない表情で言った。
「んまぁ、良いや。また後で探してみよーっと」
まぁ、ゆっくりしてってよ、と我が家のように振る舞うエース様。私はどうも、と一言言った。彼は、満足そうに、ん、と言った。
「じゃ、いい試合しようね!! 勝つのは稲実だけど」
「うん、楽しみにしてます。……あと、最後の訂正させてあげますから」
私とエース様は、お互い意地悪な顔をする。そしてどちらからともなく握手しようとしたが、がチャリと音をたててフェンスに当たる。でも、少し当たった。私のてに、エース様の手が。今度はちゃんとした握手しようよ、といわれたのでうんと返事をした。
「じゃあね、鵜久森のマネージャーさん」
「さようなら、稲実のエースさん」
次手が触れるのは、いつでしょうか?


。。
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