犬と後輩の似ているところ。

「あぁー! もうっ! うるさいっ!」
毎度毎度、部活中に、耳元で叫ばれる。鼓膜が切れてもおかしくないぞ? なんて呑気に思っているも暇はない。なにせ、彼は、何でですか!? と疑問をぶつけてくるからだ。その疑問の答えを丁寧に私は言う。それでも、彼には通じない。っていうより、逆効果という事が最近分かり始めてきたことだ。

「良いじゃないッスかー。減るもんじゃないんすから」
「減る減らないの問題じゃないの。皆に迷惑でしょ?」
「えぇー、でも、スピッツ先輩はどうなるんスか!?」
「あいつは別。あいつは、犬だから。ほら、犬って吠えてるでしょ? だから」
「あぁー、なるほど」
自分で言っておいて、私は意味が分からなかった。犬は犬でも吠えない犬だって居る。まぁ、そういう考えは、置いておく。自分自身の頭がパンクしかねないからだ。私は彼を無視して、仕事を再開した。

「彩花先輩っていっつも退屈そうッスよね。顔に書いてやすよ?」
「沢村君の顔には、御幸大好きっ、って書いてあるよ」
う、嘘だぁぁぁ! と沢村君は絶望に満ちたような顔をしていった。嘘だよ、と言うと彼はホッとした表情に変わった。……振り込め詐欺にあいそうな子だなぁ。

「やっぱ、彩花先輩。俺と居ると退屈しないっすよね?
 ほら、顔に書いてある!!」
「そうだね、沢村君と居ると退屈しないよ」
私がそう言うと、そ、そうッスよね! ハハハ!! と、笑っていた。思ってもいなかった返答に驚きが隠せないようだ。本当、裏表が分からない子だ。

「彩花先輩好きッスよ」
「うん、ありがと」
遠くの方から御幸の怒鳴る声が聞こえた。そんなのお構いなしに、沢村君はその場に座り込んだ。二ヒヒ、と嬉しそうに笑う彼に私は微笑んだ。

。。

確かに恋だった 様から。
うるさい後輩のセリフ 3 でした。
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