モノノフな二人

「あなたのそのハートいただきますっ!」
教室で響き渡る声。
その声に、クラスの人たちは驚きもしない。というより、ビクリともしなかった。
それもそうであろう。なんせ、毎日のようにやられているのだから。

「俺もそれ知ってる!
 あれだろ? 笑顔と歌声でーって奴!」
隣のクラスの沢村が言う。
そうそう! と、東条と宮本が嬉しそうに言う。
そう、この二人、ももクロ大好きな二人組なのである。
通称、モノノフ二人組である。

「でも、沢村君が知ってるなんて意外だなー」
「おう! こういう奴だろ?」
と言いながら沢村は踊って見せる。
その周りに居た小湊と降谷は拍手をしている。
だが、ひとり、金丸だけは冷や汗をかいていた。

「……ねぇ、沢村君。
 ももクロの事バカにしてんの?」
「へ?」
沢村はその宮本の言われた冷たい言葉で、動きがとまった。
そして周りで拍手をしていた小湊も降谷も動きがとまった。

「ももクロはもっとこう!
 そこ、手をもっと上げる!」
いつも優しい東条が沢村の腕を掴んで、腕をあげる。
沢村は一人オドオドしている。金丸は、しーらね、と一言言って教室に戻ってしまった。
逃げたな……、小湊と降谷は言葉にしなかったが思っていた。


「ももクロなめんなよ」
冷たい二人の言葉が、三人の耳にずっと木霊していたとさ。

(ふ、ふふ、二人が怖かったー!!)
(さ、沢村、そんなに泣かなくても……)
(ゴメンね、皆)
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