ぶりっ子にも可愛い子はいると思うんだ

秋。背番号二番になってから、彼はモテるようになった。
「あ、樹くぅん」
「多田野くぅんだぁ」
それを聞いて、彼はデレる。キモイぐらいにデレる。
前までは成宮先輩を呼ぶ甘ったるい声だけだったのに。原田先輩が引退してからというもの。本当、樹もばかみたい。私はそう思いながらも樹には言わない。
樹のかわりにいつも、原田先輩に話をする。今回も話を聞いてもらう。

「めんどくせぇ」
「そんなことを言わずに!!」
原田先輩の周りには女子がいた。
チクショウ、こいつらは金目当てだな。その考えは原田先輩にもあるらしく、その女子たちの話に聞く耳も持たない。本当、原田先輩はいい人だ。

「まぁ、あいつも少しは浮かれさせてやれ」
「彼女というものが居ながらですよ!?
本当、失礼しちゃいますよ」
そうだな、と原田先輩は言いながらけいたいをいじる。面倒なことは鳴だけでいい、この前原田先輩に言われた言葉だ。巻き込まれるのはごめんだ、と原田先輩は言うと席を立った。すると周りにいた女子たちは原田先輩を追いかける。

「原田先輩のバ―カ!!」
「んだと!?」
私はハッと我にかえりいそいそと教室に帰った。教室に戻れば、樹が顔色を変えて私を探していた。私を見つけると、走ってこっちに来た。

「キャプテンが好きって本当!?」
樹は自分の携帯を私に見せて言った。そこには、告白された。(お前の彼女に)と書かれてあった。原田先輩からのメールだ。
「……樹がデレデレしてるからだよ! 私のことかまってくれないし」
そう言って、樹を見ると嬉しそうに笑っている樹の姿があった。嫉妬? と嬉しそうに言う樹に向かって私は、そうですよ、と言った。

「ごめん」
「本当だよ。私、成宮先輩の告白断ってまで樹と付き合ってるんだからね」
今、何て言った? 樹の声に私は焦った。

(め、鳴さんが告白!?)
(シーっ!)
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