別れ封じがしたくて来たの

行く大学も決め、後は時が過ぎるのを待つだけだった。
高校の子と遊びに行き、帰る途中である。

「彩花」
名前を呼ばれた。
しかも、今、絶対ココには居ないはずの彼が真ん前に居る。

「雅……どうしてここに」
彼、原田雅功とは、つい最近まで付き合っていた。
お気づきであろうか。そう、過去形だ。

「お前、まだ行きたい学校決まってねぇだろ」
雅からの変な質問にえ?と首をかしげる。
私をバカにしているのか。

「雅、私もう大学は決めたけど?」

「そうか。
 北海道の大学か。奇遇だな」

「いや、違いますけど」
私は即答する。


「チッ。……北海道に来いよ」
雅からの一言。
私は意味が分からなかった。だって、私が北海道に行く意味がないからだ。
いや、美味しいものあるからなー。

「一生幸せにしてやる」

「……は?」

「俺はお前と別れただなんて思ってねぇ。
 お前が一方的に言ったんだろうが。
 って、おい。泣くなよ」

「うん。ゴメン」
この後、私はようやく手に入れた大学へと行けるチケットを手放し、
北海道へ行った。

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