女子力が一つ上な君なんて
「シャンプーって何使ってんの?」
私と白河君の記念すべき会話、一言目がこれである。
もうちょっと、少女漫画的なものが良かったのだが……。
「なんで?」
白河君は片耳イヤホンを取っていう。
「いや、だってさ、
女子並に髪サラサラじゃん?」
「そんなことない」
「そうだって!」
白河君は降参したのか、ため息をついた。
おい、ため息は無いだろう。ため息は。
「……そういう宮本は?」
「え、私?
私は、メ○ットだけど」
「じゃあ俺もメリ○ト」
「じゃあってどういう事ですか。
白河さん」
私がそう言うと、白河君は私の顔を見る。
そして、目が合ったと思うと逸らす。
「髪、切らないの?」
「きらない」
「長くしたいとか?」
「違う」
「女子だなー」
髪サラサラで、男子だけど、清潔感がある。
女子の鏡だよ、奴は。
「野球部なんだけど」
「知ってる」
「髪長くしたいのは、こうやって話したいから」
白河君はそう言うと、私の髪を触った。
身長が少し小さく、髪が長い私の髪をいとも簡単に触ってしまう白河君。
こんなことできるのは、白河君ぐらいだよ。
「じゃあ、鳴が呼んでるから」
白河君はそう呟く。
私が後ろを向くと、同級生の野球部数人が立っていた。
真ん中に居る成宮君はイライラしているようだ。
「じゃあ」
白河君はフワッと笑うと、いつもの顔で
野球部仲間の中に白河君は吸い込まれた。
(クソクソクソクソ……)
(怖いよ)