好きだから

「倉持ーもっちー洋一!」

「んだよ、つか長ぇよ」
で、何しに来たんだよ。倉持は自席で言った。
後ろにいつもいる御幸は今はいなかった。


「えー? 言わなきゃダメ?」

「当たり前だろ。借り物か?
 なんか忘れたのか?」

「よ、洋一に会いたかったの。
 ……それじゃダメかな?」

「別に、駄目じゃねーし嫌じゃねーけど」
倉持は少し後ろを向きながら言った。
絶対照れてるな。


「本当だよ? 洋一に会いたかったから来たの!
 あ、もう時間だから行くね」

「お、おぉ」

「じゃね!」
彩花はそう言いながら教室から出て言った。



「本当は、照れてる顔がみたかったのー」
彩花は教室に戻ってる際に、そう呟いた。
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