腰掛けてワガママ言うの

「エースになる男のいう事は絶対なんだぞ!」
鳴はそう言いながら御幸の前で駄々をこねだした。
御幸を稲実に誘おうとしたが、断られてしまったのだ。
一緒に居たカルロスや白河やらが帰った後、3人はまだ残っていた。


「……いや、俺だって青道に一年のころからスカウトされてたし」
御幸は頭をかきながら言う。

「一年!? そのスカウトマン、見る目あるね」
私はチームに所属しているわけではなかった。
私がこの二人と知り合いなのは、鳴と同じ学校だからである。


「だろ? さすが、彩花」
御幸と私はハイタッチを交わした。
そのようすをふくれっつらで見る鳴。
本当に来てほしいんだなぁ。

「はぁ、鳴。仕方ないでしょ。
 一也だって、行きたい高校ぐらいあるよ」
私は鳴を説得する。

「でもさ、勝ちたいじゃん!」

「そうだけど……」
鳴の声に負けそうになる私。
こんなにも目をキラキラさせているんだよ?


「あ、そういや、彩花はどこの高校行くんだよ」
御幸はそう言いながら、私の方を向いた。成宮はその声にピクリと反応した。

「んー。
 何かさ、友達が青道に入って吹部やるって言ってたから……。
 私も青道に入ろっかなって。
 これでも私吹部だし」

「マジ? んじゃ、もしかしたらクラス一緒になるかもな」

「だねっ」
二人はそう言いながら、笑いあった。

「んー。 ダメ!」
鳴そう言いながら、階段に座りつつ私の腕をつかみ、引っ張った。


「おっと……。
 危ないでしょ、鳴!」
危ない、危うく鳴の腕に倒れそうになった。


「……彩花だけは、取っちゃダメ!
 分かった、一也?」

「何がだよ」

「彩花は俺のものなの!
 将来エースになる男の彼女なの! 分かった!?」
成宮はそう言いながら、立ち上がって私を抱きしめた。
ヤバい、めっちゃ顔あつい。

「はっはっは! 良いじゃん。
 鳴にしては最高のプロポーズだと思うけどな、俺は」

「でしょ? でしょ!?
 てことで、一也帰って」

「おいおい、さっきまでのスカウトは……」

「もう良いよ」

「はぁ、わがままな奴だな。
 んじゃ、お二人さん。お幸せにー」
御幸はスキップ気味で行ってしまった。



「返事、聞かせて?」
鳴は、さっきまでの勢いがなく、不安そうに聞いてきた。


「ふふっ……。
 エース様のいう事は絶対なんでしょ?」
「おう!」
鳴は嬉しそうに言った。



エースになる男は。

(結構なわがまま王子です。)
(けど、大好き)
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