進級の為に

「あぁー、野球部が勉強してるー
 頑張れー」

「うっせー! お前らも死ぬほど頑張れ!」
教室でひときわ目立つ人物。
野球部で、センターの伊佐敷くん。クラスは今年の三年生で初めて一緒になった。
しかし、席は一回も隣になったことは無い。
なので、喋ったこともない。一言もだ。

まぁ、あんなすごい人気者と私が話すだなんて世界がひっくり返っても
ありえない話だけど。


「彩花ー、一年生がお呼びだよー」

「あ、はーい」
おぉ、おぉ、本当に来たな。
一年ボーイ。


「彩花先輩!! 春っちと降谷も連れて来ましたよ!
 さぁさぁ、勉強を始めましょう!」
一年ボーイ……沢村君が教室にズカズカと入ってくる。
沢村君以外にも二人いる。クソウ、沢村君もだが他の二人も可愛いなぁ。



「沢村君、本当に来たんだね」

「すみません、栄純君に連れられて……」

「アハハ、君が小湊君の弟君?
 なんか雰囲気が似てるね」

「そ、そうですか?」
あぁー!! 可愛い!
どうしよう、高校では変なテンション出さないようにしてたのに! 出そう!


「……えっと、で、どうするの?
 何の勉強にする?」

「全教科っす!」

「そっか、御幸君も大変だなぁ」

「御幸一也と知り合いなんスか!?」

「御幸君に頼まれたんだよ?
 倉持君じゃなくてさ。良い先輩持ったねー」

「そんな事ないッスよ! あいつ、ボール取ってくれないんスから!! 
 それに比べて……クリス先輩は、凄いんスよ!! なぁ、降谷?」
沢村君は隣にいる降谷君に言った。
降谷君は素直にコクリと頷いている。
御幸君、ドンマイ。



「? おい、何でお前らがここに居るんだよ」

「あ、スピッツ先輩!!」

「誰がスピッツだ!!!」
教室の端から端で会話をしている。


「っつーか、宮本、こいつらと知り合いなのか?」

「う、うん。御幸君経由で」

「ふーん。宜しくな。
 こいつら……あ、小湊以外の二人はあれだからよ」
うわぁー。世界がひっくり返らなくても喋っちゃったよ!
やっぱり、野球部は野球部を呼ぶんだな。


「うん、頑張るね。
 伊佐敷君も頑張れ」

「おう」

(彩花先輩!! さぁ、やりましょう!)
(早く……)
(空気よんで、二人とも)
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