人ごみに紛れて

家の近くには大きな公園があった。そんな公園の近くに家を建てたのは、将来できる子供のためだ。
そんなに早まらなくてもとおもったが、私のお腹にはもう一つの命があった。

「なー、花見行かね?」
ポケーと二人でテレビを見ていた時だった。
桜の特集がやっていたからだと思う。私は、二つ返事をした。
何も持っていかずに私達はプラプラと公園を歩いた。桜の話だったり、世間話だったりと話は尽きなかった。

「花より団子だなー」
「ヒャハ、そうだな」
何か買うか、お菓子買いたいな、と答える。
花見をしている人たちの中に紛れている小さな子供達。私がその子たちを見ていたら、もうすぐだろ? と隣で言われた。私はふふ、と笑ってしまった。
何がおかしいんだよ、とムスッとした顔で洋一は言った。洋一がお父さんだと思うとさ、と言えば、お前もな、と照れたように言った。

「ちゃんとしたお母さんになれるかな」
「なれんだろ、お前なら」
「さっきと矛盾しすぎ」
「うるせぇ、お世辞だっつーの」
私は洋一が良いお父さんになるって信じてるよ、と真顔で見つめて言えば顔を真っ赤にしてこっち見んじゃねぇよ、と言われた。

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