夢地図

中学時代、卒業式の日に俺は一人で教室へと向かった。なんだか、行かなければいけないと思ったのだ。
「あ、てっちゃん」
教室にはいれば俺の席には彩花が居たのだ。何をしていると聞けば、夢地図書いてるの、と言われた。夢地図? と聞けば、将来の道を描いてるんだ、と言われた。いまいちパッとこないので、その夢地図を見てみた。

「中学卒業、高校入学、大学……」
「で、次は結婚して子ども産んで、旦那さんと迎えが来るまで生きるんだ」
「それは良いな、彩花ならできるさ」
そうかなー? と嬉しそうに言う。俺は、彩花から無断でペンを借りて書き込んだ。あ、と彩花は阻止しようとするが、もうそのときには描き終わっていた。

「てっちゃん。これ……」
「む、嫌だったか?」
「ううん、むしろ嬉しい」
それは良かった、と俺は内心ホッとしていた。

「高校は違うから、迎えにいくな」
「ふふ、浮気しないでね?」
「するもんか」
俺は自信満々に言ってやった。
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