ヤキモチは恋愛の醍醐味である

両思いとかは漫画の中の世界だけであって現実にはない、と俺は断言できる自信がある。だが、それは違かった。つい最近、気になっていたやつに告白されたのだ。両思いっつ―のは実在するようだ。そして恋人が出来ると毎日が幸せ、と言われるが……。

「あぁー、哲! キャプテン! 若大将!」
「? 彩花か。どうした?」
「あのね、今日沢村君がさー」
俺はイライラしている。……俺が今絶賛イライラ中を知っているのは、哲と彩花以外の野球部(三年のごく一部)だ。亮介は、にやにや笑ってるしクリスはため息ついてるし。まぁ、そんなに嫌なら取り返せって言うけど、そんな事できるならとっくのとうにやっている。だが、目の前の二人を見るとどうしてもできない。俺は彩花の彼氏だが、そんなの忘れちゃうぐらい哲と彩花はお似合いだった。

「俺、練習顔出してくるわ……」
「ん? じゃあ俺もいぢめてこよっかなー」
「うがっ」
亮介も増子も行くようだ。哲はこちらに気づいたのか、「俺も行く」と席を立つ。おぉ、と俺は言って教室の前で待つ。

「純、ヤキモチ妬きすぎ」
「はっ!? ヤキモチなんて妬いてねーし!!」
「うるさいぞ」
「あ、すまねぇ」
クリスに言われると怖いんだよな……。っつーか、俺がヤキモチ妬く!? ないない……とも言えない。あの亮介が言うんだ。俺はヤキモチを妬いているのだろう。だぁー!! 女々しい!!

「あ、純―!! 練習頑張ってね」
教室の入り口からヒョッコリと顔を出して言う彩花。可愛いと思うのは当たり前で、俺はお、おう、と返事をする。

「……本当、純ってば日に日にカッコよくなっていっちゃうから心配だよ―。もう長打打たないで!」
「む、それはダメだ。負けてしまう」
「負ける純は嫌だ……純がいけないんだ―!」
なんていう天然コンビが二人で異論をぶつけ合っていた。内容が恥ずかしい。

「良かったじゃん純。彩花もヤキモチ妬いててさ」
隣で小さく言えばいいものを亮介は普通の声量で言う。俺はどうしたら良いのかわからずフリーズした。

「よかったな。純とおそろいだぞ」
「なっ、それは言わない約束でしょ?」
「む、そうだったか?」
も―、恥ずかしいじゃん、と顔を真っ赤にして言う彩花。隣に居る亮介の声もまともに耳に入ってきやしない。

「純、嫉妬してるの?」
「っ……悪ぃかよ」
「全然。むしろ嬉しい」
ヤキモチを妬くと、襲ってしまったりして別れるケースが多いときいた。だが、俺たちは別れずにもっと仲が深まった。ヤキモチを妬くのも悪くないとガラにもなく俺は思った。
。。
Theme 様から。
選択お題−2 でした。
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