「あたしの恋が進まないじゃない」

私の好きな人。その人には大切な人がもう居る。だから、私の恋はもう終わりなはずなのに、どうしてもまだ諦めきれなかった。理由は簡単。あの人が私に優しすぎるのだ。意地悪もするけど、でも、その分、いやそれ以上に優しいのだ。だからその分、期待してしまう。

「どんくさい。ほら、持ってあげるよ」
そう言って横から私の腕の上にあったものをすべて持って行ってしまった。私は全部というの申し訳なかったので、持たせてと言ったが聞いてくれなかった。ほら、そうやって荷物を持つところとか……本当、私をどうしたいのか。

「ありがとう」
「なに? やけに素直じゃん」
ニコニコと笑う彼。べっつにー、と私は言うと、そっか、と返してくる。隣を歩いていると、恋人かなー、とか言われる。周りからはそう見えるのかー、なんか嬉しいな。と彼女さんに対して優越感にひたっていた。

「あ、そういえば彼女さんとはどうなの?」
「え? 別れたけど?」
表情を一つも変えずに言う彼。え、嘘でしょ? と言えば本当、と言われる。今回で何回目なのだろうか。彼は彼女を作っては別れて、また作っては別れての繰り返しであった。何がしたいのであろうと思ったこともあったが、見当もつかなかった。

「また付き合うの?」
「んー、かもね」
と笑って言う彼。私はその言葉に心が痛んだ。まぁ、でも、最初のころに比べたら痛みは治まっている。

「彩花は?」
「私? ん―、どうでしょう」
教えてくれたっていいじゃん、と笑う彼に私はついつい口が開きそうになった。でも必死でこらえた。フラれるのは目に見えているからだ。でも、あきらめる事も出来なかった。また彼に対しての恋心がでてくる。そして、また、私の新しい恋が始まる。



――だけど、恋は一方に進まない。



OSG 様から。
共に歩く人 でした。
| #novel_menu# |
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -