「彩花、どうした?
 頭痛いのか?」

「ううん、大丈夫。
 ちょっと昔の事思い出しちゃってさ」

「昔の事?」

「哲との事だよ」

「?」
結城はまだ分かっていないのか、首をかしげて
一人、悩んでいた。



「私が告白した時の話だよ。
 ほら、仮がなんだのーって」

「あぁ、そういえばそういう事もあったな」
結城は昔の事かのように言った。


「え、ちょ、哲?
 私たち……」

「彩花、俺は!」
結城は彩花の方を向いて、真剣な顔つきで言った。
顔は少し赤らんでいる。緊張している証拠だ。


「……いや、やっぱりいい」
結城はふいっとそっぽを向いた。


「え、ちょ、哲?」

「……駄目だ。言えない。
 さっきのは忘れてくれ。俺たちは今無言で帰っているんだ」

「じゃ、じゃあ。私が話しても良い?」

「今まで、無言だ」
結城は言う。
言って良いという事だ。


「私と哲は、哲が、その……大学生になったら」


「……っ彩花、やっぱりいう事にする」

「え、ちょっとー」

「すまない。言わせてくれ。
 ……俺は、彩花と(仮)という関係を
 大学生になるまでなんてできない。俺は短気だからな」
結城は言う。


「……っずるい。
 私が言おうとしたのに」

「そうだったのか? 同じことを思ってたんだな」
結城が言うと、彩花は嬉しそうにそうだね。といった。


「……でも、駄目だよ。哲。
 あなたのお荷物に私はなりたくない」
彩花は思っている事を口にした。




1/5


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -