城下町をぶらつき、二人で甘味処をめぐる。 二人と言うのは、もちろん自分と愛しの小性の名前である。 毎日毎日執務だの仕事だのうるさく、佐助並みにうるさいところもあるが、全部ひっくるめていとおしい。 だから執務も頑張って終わらせれば御褒美として二人で城下町で団子を食べたり、楽しく喋ったり。 だけど、彼は中の上程の色男であり、よくよく女性にねっとりした目で見られたり、話しかけられたりすることがよくある。 今日もそうだ。せっかく二人で来たのに二人の女性が彼と仲良く対話している。 名前はというと、少し困りながらも話の相手をする。 不貞腐れたように横目で三人を見る。女性二人は美人だ、名前といるとなんというのだろう…そうだ、絵になるんだ。 こんなむさ苦しい男より、華やかな女性が彼には合う。 ………だからこそ、悔しくてたまらない。俺の小性だ、俺の名前だ、と叫びたくもなる。 だがそんなことしてはかえって名前に迷惑をかけてしまう。恥をかくどころか女性すら寄ってこないかもしれない。 「は、はは。そうですかそれは大変でしたね」 「そうなんですよ〜…それでその人なんて言ったと思います?」 「はて、なんとおっしゃったのでしょうか?」 聞いてるだけで体の神経の一つ一つが強張る。胃が痛くなる。頭が痛くなる。 だけどそこで話を食い止めるのは自分ではなく名前だ。 「お話の途中申し訳ないのですが、私も連れがいるのでまたお話は次の機会に」 しましょう?ではなく、次に機会にしてくれ、との合図。有無を問わずして穏やかに相手を帰す。 話してる最中も自分のこと思ってくれたのかな、と思うと自然と顔は緩み、体全身がくすぐったくなる。 それでもやっぱり大人しく見過ごす程大人でもなかったわけで。 「そうだ、名前。」 「なんでしょう幸村様」 「先程のお二方、名前の陰口を叩いていたところを見てしまったのだが…注意した方がいいぞ」 「うわっ、そ、そうだったんですか……危ういところでした…」 それならもう会いたくないなー、と苦笑いをする彼。 けどやっぱり花畑に渡す気はない! (花は嫌いで御座る) (どうしました?) ―――――――――――――――― もちろん女の子たちは無罪です。 20110830 prevnext |